障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

2006年度事業計画

はじめに


 今年度のわが国の障害分野を展望するとき、最大のポイントとなるのが障害者自立支援法(以下、自立支援法)の施行による影響がどうなるのかということになろう。と同時に、法律の成立時に明記された「所得の確保」や「障害者の範囲」などの検討課題、さらには当面の重大な政策課題とされているいわゆる「統合問題」(介護保険と障害保健福祉施策との統合)、これらへの備えについても本年度は本格的に着手していく必要がある。
 特に、施行に伴う影響については、定点調査方式などを用いながら日本障害者協議会(以下、JD)独自の実態調査を行なうことにしている。その結果については、国会や厚労省への働きかけに際しての基礎資料とし、またマスコミや広報活動などを通して、広く社会に紹介していきたい。

 さて、もう少し視野を広げながら障害分野全体に関する国の内外の動きを眺めるとどうなるだろう。
 まず、国際的には引き続き国連での障害者権利条約の制定をめぐる動きが注目される。今夏に予定されている第8回特別委員会(ニューヨーク国連本部にて)での審議・交渉が実質的には最後になるのではとされている。採択後のわが国への影響などを考え合わせれば、JDとしてもできる限りの関与が求められる。
 国内課題という点では、前述したように自立支援法関連の動きに重点が置かれることになろうが、それ以外にも注意を払わなければならない点がいくつかある。主なものとしては、第一に「障害者差別禁止法」制定への流れを確実なものとすることがあげられる。第二は、障害者基本法の「5年後見直し」(附則)への備えに入ることである。第三は、「障害者基本計画」の中間年が明年または明後年に迫っているが、進捗状況の把握を中心に具体的な点検作業に入っていくことである。
 国内課題のうちの政策課題と並行して、もう一つ重要なのが、関係団体との連携をより発展させていくことである。具体的には、日本障害フォーラム(JDF)の活動や事業に貢献することであり、とくにJDが担当している「障害者の差別禁止と権利法制に関する専門委員会」に力を入れていきたい。なお、個々の課題に応じて、随時個別の団体とも調整や連携を図っていく必要がある。

 以上、障害分野をめぐる国の内外の動向の特徴や関係団体の連携の必要性を記してきたが、肝心のJD自身の課題についての基本を触れておきたい。

 結論から言えば、主体的な力量を高めていく、この一言に尽きよう。ここで最も重視されなければならないのが、財政面で力をつけていくことである。現状では、単年度での収支バランスを保つことは難しく、蓄えてきた「基金」(法人化をめざしての)取り崩す状態が続いている。独自の財源づくりについて本格的かつ具体的に検討を開始していかなければならない。

 もう一つ重点を置くべきは、組織力を強めていくこと、すなわち加盟団体そのものを増やすことと、加盟団体を支援する活動を図っていくことである。「行動するJD」に加え、「信頼されるJD」として、さらに存在感を高めていこうではないか。

 以下、今年度の事業や活動の課題や計画の重点を掲げることにする。

フッターメニュー