08年8月30日更新
わが国の障害分野をめぐっては、今年度も二つの潮流でこれを捉えることが肝要である。一つ目は、04年から継続している障害者自立支援法(以下、自立支援法)に関する動きである。今ひとつは、去る5月3日に国連において発効をみた障害者の権利条約(以下、権利条約)に関する推移がどうなっていくのかということである。これら二つの潮流は、それぞれ固有の性格を持つものであるが、同時に関連付けて捉えることが重要であり、いわば個別対応と連結対応の二つの視点を備える必要があろう。
まずは自立支援法についてであるが、「三年後見直し」の時期に当たることを意識しながらも、大きく二つの視点に留意すべきである。
一点目は、改めて自立支援法の本質を深めることで、わけても障害者プランの策定時あたりからの政策系譜に精緻な総括を加えることである(時間軸)。
二点目は、生活保護制度や後期高齢者医療制度など、この間の社会保障政策や社会福祉政策全体の後退傾向との関連で自立支援法に光を当てなおすことである(横断軸)。
加えて、自立支援法施行後の2年間余の検証についても、徹底してこれを行なわなければならない。これらの作業の上に、今日的な視点から自立支援法のあり方をどう考えるべきか、JDとしての基本的な方針を再確認する必要がある。
権利条約については、大きくは批准に向かって推移していくことになろう。最も注意を払うべきは、形式的な批准に終わらせてはならないということである。言い換えれば、障害分野に関連する法律や制度を条約の水準に合わせて創設や改正を先行させるべきで、あくまでも実質性を伴った批准としなければならない。当面重点を置くべきは、
などである。
これら自立支援法や権利条約の取り組みにあたっては、障害分野を中心にさまざまな団体との連携が大切となる。とくに、権利条約に関しては、JDF内で積極的な役割を果たすと共に、JDF加盟団体と一体となりながら「障害者権利条約議員連盟」との調整や政府への働きかけを強めていきたい。
この他、今年度は障害者基本計画(03年度~12年度)の後期重点計画のスタート年度に当たり、また来年度に予定されている障害者基本法の改正準備が本格化することが考えられる。さらには、JDが強力に支援して行なわれた日本政府を相手にしたILOへの「ILO159号条約違反に関する提訴」についても、何らかのリアクションが想定される。これらの動向にも適切かつ迅速に対応していかなければならない。
他方、問われるのがJDの主体的な力である。とくに、財政基盤の強化については喫緊の課題とされながら、展望を見い出せないままでいる。また組織面については、正会員や賛助会員をひろげていくことと合わせて、JD会員の地方組織(支部など)間の横のつながりについても具体化を進めていく必要がある。さらには、JDの組織体そのものの将来展望をどう考えていくべきか(かつて社団法人をめざしたことがある)、検討に着手していきたい。
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