23年10月27日更新
VOL.43-7 通巻NO.520
JD理事
竹田 保
日本筋ジストロフィー協会(JMDA)は、筋ジストロフィーに苦しむ方々とその家族、支援者とともに歩んでいます。今年は、私たちにとって特別な節目の年であり、創立から60年を迎えることができました。これも、多くの方々の支えとともに、努力と信念の結晶です。
JMDA会員は、病棟入院患者、在宅患者、家族など、約1400名に及びます。彼らは日々、筋ジストロフィーという難病と向き合い、その克服に努力しています。そして、私たちもまた彼らを支え、共に歩むことを使命としています。
特に、国立病院機構筋ジストロフィー病棟という政策医療機関が存在することは、セーフティーネットとして極めて重要です。ここでは、専門の医療チームが筋ジス患者に最高の治療とケアを提供し、彼らの健康を守ります。この病棟は、多くの患者とその家族にとって希望の灯火であり、私たちの存在意義の一部でもあります。
筋ジストロフィー病棟では、学齢期の患者には特別な教育が提供され、ICTを活用して障害の進行に合わせてアクセス可能な学習が行われています。また、スポーツ活動も重要で、ボッチャや電動車いすサッカーなどの運動が推奨されています。これらの活動を通じて、体力向上や社交的なスキルの発達が促進され、友情を育みながら、生活の質を向上させています。
医療スタッフと協力し、日常生活における支援やリハビリも提供されています。
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60年の節目を迎える今、私たちは過去を振り返りつつ、未来に向けての展望も共有したいと思います。長らく待ち望まれてきた治療薬の開発が、最近ではIPSなどの医療技術の進歩により、着実に進んでいます。これは私たちにとって朗報であり、新たな希望の兆しです。
しかし、私たちの使命はこれにとどまりません。治療薬が開発されたとしても、それを患者に届け、彼らの生活を充実させるために、私たちの活動は重要です。アクセシビリティの向上、情報提供、社会参加の促進、患者と家族の支援など、様々な側面から筋ジス患者が充実した生活を送れるようサポートしていきます。
他団体との協力関係が、私たちの使命達成のための新たな一歩となります。
この度、理事として加わり、JDの皆様とより緊密な連携を築きながら、障害者の権利と福祉の向上に取り組んでいきたいと思います。
60年間のご支援と共感に深く感謝申し上げ、今後も患者とその家族と共に、より良い未来を築くために努力し続けてまいります。
JD常務理事
増田 一世
私が一人前のソーシャルワーカーを目指して、やどかりの里(さいたま市で精神障害のある人たちの地域支援を行う団体)の研修生になった時、先輩から2つのことを告げられ、それは今なお私の中で生きている。
1つは「あなたのお師匠さんは目の前の障害のある人たちだ」ということ。それから40年余、彼らとともに活動する中で、さりげない関わりの中で気づかされ、時にぶつかり、励まされ、そして、あなたはどう生きようとしているのかと無言で問いかけられてきた。
もう1つが「記録のない実践は実践にあらず」だった。この言葉の意図はどこにあったのか。改めて考えている。先輩たちからは日々の障害のある人との関わりは常に流れゆくものであり、でもその中に見過ごしにしてはならない大切なものがあり、それを見逃さないために記録に留めるのだと言われてきた。難しかったのが、記録の中に自分自身の言動やそれはどのような思いや考えによるものなのか、自らの言動を客観的に記し、振り返ることだった。それは記録をどう生かすのかということにつながっている。
私の活動初期に、週に2日担当していた精神障害のある人たちとのグループ活動(爽風会)の4年間の記録をもとにグループの誕生から終結までの動きをまとめた。その後、「爽風会活動と私 グループワーカーとしての活動の記録」という原稿にまとめ、先輩たちと1冊の本(文献1)を出版した。日々の活動を積み重ね、4年間を俯瞰する経験だった。自身の言動も記録に留め、記録を生かすことの意味を実感した。自分自身が他者を傷つける存在になりうることに自覚的になり、自身への気づき、グループ活動の意味や意義の確認、課題が明確になった。人と関わることを職務として担う自分にとっては、必須のことだったのだと改めて思う。
1970年に活動を開始したやどかりの里は、ソーシャルワーカーと心理士、精神障害のある人と家族が、その活動の主要な担い手だった。医師も含め医療関係者は不在で、周囲からは医師でもない素人に何ができるのかとみられていた。だからこそ、実践記録をまとめ、やどかりの里の実践の確かさを社会に問うという意味もあった。
さて、改めて記録のことを考えるきっかけとなったのは、立命館大学の後藤基行氏らを中心に取り組まれている研究事業「医療・福祉に関する歴史的な資料の研究利用のあり方」や「資料の利活用や保存に際して患者さん・ご家族が直面する倫理的・社会的課題に関する調査」等への協力要請がJDややどかりの里にあったことだ。印刷物として残されているものは比較的保存しやすい。一方、ある決定がなされるまでの会議録や日々の実践記録、幅広い記録が存在し、記録は膨大であり、個人情報保護や保存方法やその記録の生かし方にはさまざまな検討が必要だ。そう簡単に答えがでるものではない。
しかし、今自分が立っている実践現場は、さまざまな積み重ねの中で今に至っている。今現在の課題を考えるためにも今に至るまでの事象を無視するわけにはいかない。さらに50年後、100年後の人々に生かされる記録のあり方とは、そして、どのような記録をどう保存していくのか。記録を未来につなげていくために何が必要なのか、大きな課題を自覚することになった。
(文献1)柳 義子,増田 一世,谷中 輝雄:グループ活動の理論と実践;やどかり出版,2002
旅館業法改正と障害者差別の解消-カスタマー・ハラスメントと合理的配慮要求-
佐藤 久夫(日本障害者協議会 理事)
私を育ててくれた、障害者運動
市橋 博(障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会 会長)
絵本・児童文学の新しい境地を開いた松谷みよ子
品川 文雄(発達保障研究センター 前理事長 / 元小学校障害児学級教諭)
理解を広げて、子どもも親も笑顔に
津田 明雄(一般社団法人日本自閉症協会 常任理事 / 静岡県自閉症協会 会長)
第12条「法律の前にひとしく認められる権利」と「意思決定支援」
石渡 和実(日本障害者協議会 副代表)
~旧ソ連の障害児収容施設で~
古本 聡(翻訳業)
「優生」に悩んだ障害者たち ――手術の悲哀を詠んだ歌(前編)
荒井 裕樹(二松学舎大学准教授 / 障害者文化論研究者)
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