本年度は、わが国における障害分野にとって大きな再スタートの年になる。2000年度の社会福祉関連諸法の改正を受けた各種制度改革の完全実施も本年からであり、前年度に策定された「新障害者基本計画」と「新障害者プラン」もスタートする年度となる。この時に当って本協議会をはじめ障害関連団体がいかに連携し、的確に諸課題に向いあえるかがわが国における21世紀序盤の障害分野のあり方を占う上で、決定的な意味を持つことになろう。
未曾有の国家財政の危機とこれに続くデフレ経済下での各種制度・政策の見直しは戦後培ってきた社会福祉のあり方を一変する要素を孕み、こうした状況の下での社会保障制度並びに社会福祉施策についても、現行水準の維持すら危うくなっていると言わざるを得ない。
障害分野としてもこの難局を如何に乗り越えていくかが問われているが、そのためには各種障害団体が互いの立場の違いを超えた協働の必要性を認識し、その中から互いの弱さを補い合い、共に助け合うことの大切さを先ず確認することが求められる。この点で昨年取り組まれた郵政関連法案における第三種・第四種郵便制度の維持とホームヘルプ利用時間上限設定の撤回を求める運動は今後に向けて極めて大きな成果と示唆を与えるものであった。これらの上に本年度の事業・運動をより発展させていかなければならない。運動の推進にあたっては、当面のわが国における障害者施策の基本設計図となる「新障害者基本計画」ならびに「新障害者プラン」を強く意識し、目標値の修正を含めさらに良質なものをめざし改良を求めていきたい。
国際的には「新アジア太平洋障害者の十年」の始発年であり、これと関連しながら国内の障害団体間の緩やかな連携を志向しての「日本障害フォーラム(仮称)」の設立に向けて新たな動きが始まろうとしている。これらの動きに積極的に関与していくことで、また「新・アジア太平洋障害者の十年」の成功と「びわこミレニアムフレームワーク」の実現に貢献することになろう。また、国連での「障害者権利条約」の採択に向けた取り組みについても、わが国における「障害者差別禁止法(仮称)」ならびにすべての障害のある人びとを対象とした「障害者福祉法(仮称)」の立法化の課題と合わせ関係団体と連携しながら、本協議会の重点課題としていきたい。
以上、障害分野をめぐる内外の課題を概観してきたがこうした状況下にあって本協議会の役割は少なくないものがある。理事会の機能強化と専門委員会の充実を基本としながら、前年度における「本協議会のあり方に関する検討会」において結論付けられた「本協議会は参加する70団体の声を常に反映する組織であり続けること」をさらに探求していくこととする。なお、本協議会の財政事情は引き続き厳しい状況にあり、現実的には財源の収支に見合った活動とならざるを得ない。財政事情の好転を少しでも図りながら本協議会の持ち味のひとつである政策提言力をさらにアップし、障害者団体間の新たな連携に向けて積極的な役割を担っていきたい。
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