障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

2002年度事業計画

はじめに


 本年度は、わが国における障害分野にとって歴史的な節目に当たるのである。この節目に本協議会をはじめ、障害関連団体がいかに主体的でかつ的確に対処でき得るのか、このことがわが国の障害分野の近未来を形作っていくうえで決定的な意味を持つことになろう。
節目となる動きについては、これを国の内外の二つの視点でとらえることができる。

 まず国内の動きであるが、最大のポイントは「障害者施策に関する新長期計画」および「障害者プラン」の終了年度と新「障害者基本計画」(新基本計画)及び新「障害者プラン」(新プラン)の策定年度が重なるということである。わけても、新基本計画及び新プランをいかにして実質的なものとしていくか、これに最大限のエネルギーを費やさなければならない。数値目標の水準の低さと厚生省(当時)所管施策に偏っているなどの面で不備の多い現行プランであり、それだけに新基本計画及び新プランへの期待と関心は非常に大きいものがある。年内発表(12月中旬以降)という限られた時間内での策定作業ということになるが、本協議会としては1998年度にまとめあげた「障害者に関する総合計画提言」ならびに正会員のニーズ等をベースに積極的な提言活動を試みていきたい。

 国内の動きのもう一つの側面として、立法面で新たな流れが見られることである。主なものとして、
1)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案(心神喪失者医療観察法案)
2)人権擁護法案
3)障害者等に係る欠格事由の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案
4)高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案
5)障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案
6)身体障害者補助犬法案
7)第三種・第四種郵便物制度の廃止もしくは後退を内包する郵政関連法案(日本郵政公社法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案等)

があげられる。今通常国会で既に成立しているものもあるが、賛否が分かれたまま着地点が定まらないものもある。とくに、根幹的な問題を含む「心神喪失者医療観察法案」ならびに第三種・第四種郵便物制度の後退については、明確に反対の意思を表明していきたい。

 国際的な節目となる動きについても、2点掲げておく。その第一は、国際連合アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が定めた「アジア太平洋障害者の十年」(1993年~2002年)の最終年に当たるということである。合わせて次期の10年を展望する年ともなる。今秋に北海道と関西を舞台に集中的に企画されている記念事業について、当協議会としても主唱団体の一員として積極的に貢献していく必要がある。今一つの重要な課題として、「障害者権利条約」の採択をめぐる動きがあげられる。昨年の第56回国連総会でのメキシコ政府の提唱に始まった今般の「障害者権利条約」をめぐる動きは、今夏の「障害者権利条約に関する特別検討会」の設置をもって新たな段階に移行しようとしている(7月29日~8月9日までニューヨークで開催)。採択までには曲折が予想されるが、もし採択が成り、わが国において批准されたとしたならば、それがもたらす効力は計り知れないものがあろう。「アジア太平洋障害者の十年」最終年の成功と合わせ、「障害者権利条約」の採択にむけて、とりわけ障害関係団体との連携を重視していきたい。

 このような大きな動きを背景としながら、本協議会がどのような針路をとるのか、活動や事業を裏付けるための条件をいかにして確実なものとしていくのか、このこともまた厳しく問われているのである。懸案の社団法人化の課題ならびに逼迫した財政問題については、正会員の英知を結集しながら、今年度さらに踏み込んだ検討を加えていかなければならない。


 以下、本年度の事業計画の詳細を記す。

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