障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

25年7月10日更新

2025年夏参院選 障害者政策に関する、政党への公開質問状とその回答

 2025年7月20日に予定されている参議院議員選挙に向けて、障害者政策に関する「政党公開質問状」を各政党に提出しました。その回答を掲載いたします。

質問状の提出先と回答の状況

自由民主党/立憲民主党/公明党/日本維新の会/国民民主党/日本共産党/れいわ新選組/社会民主党
※政党の並び順は公示前の議席数順です。

migi各政党からの回答はこちらをご覧ください。

Q1 優生保護法最高裁判決を踏まえた対応について
 優生保護法下で行われた強制不妊手術などを憲法違反として39人の障害者が訴えていた優生保護法裁判について、2024年7月3日に最高裁大法廷において、優生保護法は立法時から違憲であり、国会の責任は重いと断じました。9月30日に原告団・弁護団・優生連※1と国との間で「基本合意」が締結され、10月8日には「補償法※2」が成立し、被害者への謝罪と補償が実現されつつあります。

    ※1 優生連:優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会

    ※2 補償法:旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律

 このような経緯を踏まえ、今後の国としての対応や人権施策のあり方について貴党の考えをお教えください。重要と思われる次の3点について、貴党の考え方に最も近い選択肢を、a・b・cから1つ選んでください。

(この設問は他とは回答方式が異なります。)

① 国内人権機関(いわゆるパリ原則に則って)の創設について

        a 早急に検討に入るべき     b 当面は必要ない

        c その他(  )

② 優生思想に基づく差別や偏見を根絶するための基本法の制定について

        a 早急に検討に入るべき     b 当面は必要ない

        c その他(  )

③ 優生政策に関する資料(当事者の生の声や手記などを含む)を保存するための「資料センター」の創設について

        a 早急に検討に入るべき     b 当面は必要ない

        c その他(  )

●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください。

Q2 防災ならびに災害対策について

 2011年の東日本大震災では、障害のある人の死亡率は障害のない人の2倍だった、との報告もあります。2024年元日の能登半島地震、さらに9月の豪雨と、石川県の被害は甚大であり、被災された方々の復興は未だに見通しが立たず、障害のある人や高齢者の生活はさらに厳しい状況にあります。昨今の気候変動の影響も大きく、大災害がいつ、どこで起きるかの予測は困難であり、障害がある人にとっての安心・安全のための施策にも再検討が求められています。生命に直結する防災ならびに災害対策について、貴党の考えをお教えください。
 以下の選択肢から優先すべきと考える2つまでに、○をつけてお答えください(1つでもよい)。

① 障害のある人にとっては避難所まで行くことにも困難があり、まずは一次避難所までのアクセシビリティを高める方策を進めるべきである。
② 避難所の環境は障害のある人にとって利用しにくい現状であるが、地域特性に応じ、在宅避難も含めて配慮された福祉避難所に避難できるよう整備されるべきである。
③ 災害時に備えて、障害のある人が地域の人々と一緒に避難訓練を行い、防災の専門家を交えた検討に努めるべきである。
④ 「災害時個別支援計画」の策定に努め、具体的な避難や支援について地域の人々とともに検討すべきである。
●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください。

Q3 障害のある人の投票について

 障害者権利条約や障害者差別解消法の視点に立ち、「障害がある人々の投票行為について合理的配慮を欠くことは差別である」との認識の下、当会はさまざまな活動を続けています。総務省や地方自治体でもマニュアル作成など、対策が検討されていますが、今回の参議院選挙を機にさらなる進展をめざしたいと考えます。すべての障害のある人が選挙権を行使するためにどのような支援が求められるか、貴党の考えをお教えください。
 以下の選択肢から優先すべきと考える2つまでに、○をつけてお答えください(1つでもよい)。

① 自治体の選挙管理委員会は「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に関するマニュアルを作成し、地域事情や実態を把握して、その実施や改訂に努め、周知を徹底すべきである。
② 投票所までのアクセス、投票所内の移動、投票用紙、自筆による記入方法の改善など、障害特性を配慮した投票所のバリアフリー化に努めるべきである。
③ 選挙公報については、点字版、拡大文字版、音声版、分かり易い版、アクセシブルな電子版の作成など、障害がある人に情報が確実に届くよう努めるべきである。
④ 郵便投票の簡素化や巡回型の移動投票所など投票行為の可能性をはかるべきである。
●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください(300字以内)。

Q4 所得保障のあり方について

 障害のある人の所得については、就労の機会が得にくいことや障害年金が十分でないことなどにより、日常生活を送るにも困難があり、「貧困」と言わざるをえない状況にある、などの調査結果も出されています。結果として、家族に依存せざるをえない、生活保護を受給するしかない、といった状況に置かれている方も数多くいらっしゃいます。このような状況を打開するための所得保障のあり方について、貴党の考えをお教えください。
 以下の選択肢から優先すべきと考える2つまでに、○をつけてお答えください(1つでもよい)。

① 企業等に就労して安定した収入を得られるよう、障害者の就労支援施策を拡充すべきである。
② 福祉的就労の場に雇用契約を位置付け、年金とあわせて生活できる収入を保障すべきである。
③ 障害基礎年金の増額や認定方法など、障害年金の抜本的な改革を検討すべきである。
④ 国民生活基礎調査に基づく障害者の相対的貧困率を明らかにし、公表すべきである。
⑤ 生活保護制度との関係性を整理すべきである。
⑥ 家族依存を求める「扶養義務制度」そのものを検討すべきである。
●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください。

Q5 精神障害者政策のあり方について

 障害者権利条約の日本への「総括所見」でも、長期入院や強制入院などの精神障害者医療の現実が厳しく批判され、施設入所とともに地域への移行が強く求められました。また、一般病院より少ない医師や看護師の配置を認める差別的な医療(いわゆる「精神科特例」)、入院中の身体拘束など、精神障害者の支援については多くの問題が指摘されました。また、報道による「死亡退院」などの言葉も注目され、現在の精神科医療、福祉支援のあり方には国内外で多くの課題が指摘されています。このような精神障害者施策についての貴党のお考えをお教えください。
 以下の選択肢から優先すべきと考える2つまでに、○をつけてお答えください(1つでもよい)。

① 自由剥奪の強制入院につながる医療保護入院や措置入院について、抜本的な検討をすべきである。
② 虐待にもつながる「精神科特例」など、精神科医療を特殊化しない医療改革を徹底すべきである。
③ 意思決定支援など支援者と信頼関係を築き、本人が自らの生き方を実現できる支援を充実すべきである。
④ 退院後の住宅や福祉サービスなど、家族に頼らなくとも地域で暮らせる支援システムを拡充すべきである。
⑤ 精神障害者に根強い差別・偏見を解消するための人権啓発のあり方について検討し、継続して実施することが求められる。
●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください。

Q6 障害者基本法の改正について

 障害者基本法は2011年の改正の際、附則第二条で3年後の見直しを規定していますが、現在まで改正はなされていません。2014年に障害者権利条約を批准し、2022年には「総括所見(勧告)」が出され、障害施策に対してさまざまな懸念事項が指摘されています。
 国内では、障害者差別解消法の制定(2013年)や情報アクセシビリティ法の制定(2022年)など、大きな進展も見られます。2024年7月には優生保護法問題をめぐる最高裁判決が出され、政府は障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画を策定しました。
 障害者基本法の改正について、貴党のお考えをお教えください。
 以下の選択肢から優先すべきと考える2つまでに、○をつけてお答えください(1つでもよい)。

① 第一条「目的」の条文に、「障害者権利条約を踏まえて」という趣旨を盛り込むべきである。
② 二条「定義」の条文を現状に合わせて検討し、「合理的配慮」の定義を新設すべきである。
③ 第四条「差別の禁止」において、「合理的配慮の否定」が差別に該当することを明文化し、「関連差別」や女性と障害などの「複合的差別」等について明記すべきである。
④ 第五条「年金等」では、障害者の所得を障害のない人と同じ水準にする視点から、障害に関連する追加費用、無年金障害者の救済、障害者団体との協議などを加筆すべきである。
⑤ 第二十八条「選挙等における配慮」は、投票方法の明記や行政の責務などを加筆し、障害者が立候補する場合の規定を盛り込むなど、抜本的な検討が必要である。
⑥ 障害者権利条約の批准、国連の障害者権利委員会からの総括所見などを踏まえて、「障害者施策の監視」「権利侵害からの救済と制裁」「統計及び資料の収集」など、新たな条文を設けるべきである。
●その他、お気づきのことがあれば自由に記述してください。

Q7 貴党の障害者政策の特徴について

 貴党の障害者政策で、参議院議員選挙にあたり最も訴えたいことは何でしょうか。自由にお書きください。また、冊子やホームページなどで公表されている障害者政策をお教えください。





フッターメニュー