26年1月13日更新
2026年「すべての人の社会」1月号
VOL.45-10 通巻NO.547
■年頭にあたって 二つの未来
JD代表 藤井 克徳
「今年はどんな年になるのだろう」などと考えを巡らしていると、二つの「未来」が頭をかすめる。一つは、「一寸先は闇」「晴天の霹靂(へきれき)」の類で、人の意識や願望ではどうにもならない事象である。大規模災害や思いもよらない大事件がそれに当たる。もう一つは、当方の働きかけ如何で変わる事柄である。前者を「いきなり未来」、後者を「たぐり寄せ未来」と言ってはどうだろう。ただし、「いきなり未来」もむなしさや悲壮感だけで終わるわけではない。それ自体は防げなかったとしてもそこから導かれる学びや教訓は少なくない。再発防止や備えに役立つことになる。
あらためて今年をみてみる。大規模災害でいえば、東日本大震災から15年、熊本地震から10年となる。また、あの忌まわしい「やまゆり園事件」からも10年を経る。
「時の節目」には不思議な力が潜む。過去を呼び覚まし、「忘れることは罪悪」の警鐘を鳴らしてくれるのである。時の節目と言えば、障害者権利条約の制定20周年も押さえておいてほしい。
他方、「たぐり寄せ未来」についてはどうだろう。迫りくるテーマは文字通りてんこ盛りである。先ずは、二つの最高裁勝訴判決の価値をくっきりと形に表すことである。優生保護法判決でいえば、すべての被害者に謝罪と補償金を確実に届けることであり、検証作業を軌道に乗せることである。生活保護法判決では、被害者すべての完全な損害回復と合わせて、厚労省のゆがみきった姿勢をどう正すかである。
障害分野の憲法とされる障害者基本法の抜本改正や障害関連事業所の職員不足の解消はいずれも待ったなしである。障害者権利条約にかかわる総括所見(日本政府への勧告)も、このままでは「ショーウインドウの宝石」になりかねない。そうならないようにするうえで、一歩踏み込んだ年としなければならない。
明るい話題と言えば、国連で高齢者権利条約の審議が始まることである。障害者権利条約との兄弟条約と考えられ、障害分野からも声援と注目が求められる。
「いきなり未来」に対しては培ってきた備えを最大限に生かすことであり、「たぐり寄せ未来」については主体的な力が試される。JDの結束と存在感の発揮は、これらを後押しすることになろう。笑顔がこぼれるような出来事が多く生み出される2026年としたい。
■新春鼎談 国連 障害者権利条約採択から20年
“インクルーシブ社会”に向けた政策を実現していく年に!
木村 英子 きむら えいこ
参議院議員
田門 浩 たもん ひろし
国連障害者権利委員会委員、弁護士
増田 一世 ますだ かずよ
JD常務理事 *進行
◆活動の背景-脱差別・脱優生思想
増田:あけましておめでとうございます。一昨年、昨年と、障害のある人たちによる集団訴訟の判決が出され、その後の対応が進んでいます。優生保護法、生活保護法はじめ人権保障を追求する訴訟の意義を踏まえながら、どう政策に生かしていったらいいのか、障害者権利条約(権利条約)にも照らしながら考えてきたいと思います。木村さんは国会、田門さんは国連と、政策に直結、また影響力を持つフィールドで活動されています。
木村さん、自己紹介と国会議員になられた理由もお聞かせください。
木村:私は、生後8か月の時、歩行器ごと玄関に落ちて障害を負いました。施設に入り、18年間、手術とリハビリテーションを繰り返し、時には虐待を受ける生活をしました。養護学校卒業後は、家族の介護を受けながらの在宅生活は無理でしたが、施設は嫌で、19歳の時に東京都国立市で自立生活を始め、障害者仲間に助けられながら過ごしました。
国会議員になったのは、障害当事者の立場から障害者の現状を伝え、地域であたりまえに生きていける社会をつくりたいと思ったからです。実際の地域での生活は、交通機関の利用や住宅がなかなか借りられないなど、様々なバリアがあり、差別を受けます。介護状況も苦しかったので介護保障の要求などの運動が生きるすべでした。その運動の中で、れいわ新選組の山本太郎さんと出会い、障害者の制度を良くしていくには、当事者の声を国会に直接届けることが大事だという熱意に感動し、2019年に特定枠で議員にさせてもらいました。多くの仲間に背中を押されたこともあり決断しました。
増田:障害当事者の議員さんとお会いする機会が増えて、木村さんたちの存在感を実感しています。
田門さんは、なぜ、国連の障害者権利委員に立候補されたのですか。
田門:障害者権利委員に立候補した動機は二つです。一つは世界の優生思想をなくしたいという思いです。私は生まれつき耳が聞こえず、発語もできません。そのため母は優生思想に苦しんでいました。私は中学まではろう学校で、地域の高校に断られた経験があり、大学も最初は受験から断られましたが交渉して受験し、入学しましたが手話通訳はなく、授業がわからないような状況でした。1998年から弁護士活動をしています。1996年に優生保護法が改正されましたが、強制不妊手術などの被害者が多いことを知り被害弁護団に入りました。
もう一つは、災害時の権利保障です。私は福島生まれで、東日本大震災で知人たちが被災しました。災害に遭った時の人権保障のために、世界の災害対策の情報を得たいと思っています。
増田:私は、やどかりの里という団体で、精神疾患が回復しても精神科病院を退院できない人や孤立している人を地域で支える活動をしています。JDとのつながりは、障害者自立支援法がきっかけでした。障害を自己責任に課すようなこの法律を許せない気持ちが強く、当時のJD代表に声をかけられて「自立支援法110番」に参加しました。
その後、自立支援法違憲訴訟が始まり、まとまることが大事だと思い、以来JDの役員としても活動してきました。裁判は勝利的和解となりましたが、自立支援法は障害者総合支援法となり、課題は未だに山積しており、まだまだ当事者の声が届いていません。
木村:障害者の制度を作っている殆どが健常の議員です。当事者にしかわからないことが多く、障害者議員が増えることが大事だと思います。
増田:世界中の人口の15%は障害者とも言われていますので、国会議員の割合もそうなってもおかしくないと思います。国会での具体的な活動についてお聞かせください。
つづきは本誌で。
Nguyen Thi Lan Anh(コミュニティ活動センター(ACDC)創設者 / 所長・ベトナム障害者連合(VFD)副会長)
「誰が普通の人と劣等た人を区別しえよう」――知的障害者(上)
林 雅行(ドキュメンタリー映画監督・作家)
日本大学における障がい学生支援
槙野 雅文(日本大学学生支援センター主任コーディネーター (精神保健福祉士・社会福祉士))
松田 崚さん(弁護士)
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■個人賛助会員・・・・・・・1口4,000円(年間)
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