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26年6月4日更新

声明 社会福祉法改正案参議院での慎重審議を強く求める 私たちのことを私たち抜きに決めないで

〇社会福祉法改正案の参議院での審議にあたり、JDは6月4日に声明を発表しました。

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2026年6月4日




声明

社会福祉法改正案参議院での慎重審議を強く求める

私たちのことを私たち抜きに決めないで




NPO 法人日本障害者協議会(JD)代表 藤井 克徳

 

 

 5月26日、社会福祉法等の一部改正案が衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院での審議が始まろうとしている。障害のある人はじめ、認知症など生活を送る際に多くのニーズを抱える人たちの生活を大きく左右する社会福祉法改正案は、9つの法律の束ね法案であり、衆議院厚生労働委員会ではたった4日間の審議だった。審議不十分を自覚するからこそ、27もの附帯決議がつけられたのではないか。今向き合うべきは、この国の社会福祉政策の本質問題と真の展望づくりだ。その前提となるのが過去の振り返りである。とくに、介護保険法施行から26年、障害者自立支援法(現障害者総合支援法)施行から20年のこの時期に、いったん立ち止まって丁寧で正確な検証と総括を行なうことだ。目先のほころびを覆い隠すだけに専念するのではなく、なぜ今の事態に至ったのか、根本原因はどこにあるのかを明らかにすべきである。「覆い隠し政策は、根本問題を見えにくくし、問題解決の手遅れに加担することにもなることも忘れてはならない。言い換えれば、「覆い隠し政策」からの決別こそが、国会に求められる役割であり、責任である。こうした視点の中にこそ、人口減や超高齢化に対応した、そして障害のある人にとって、「わが意を得たり」を実感できる社会福祉政策の輪郭が浮かび上がるのではなかろうか。
 本法案について、障害関係の立場で以下、3点の問題を指摘したい。参議院での慎重な審議に反映していただきたい。

1.人員配置基準の緩和・担い手不足への対応

 介護保険法改正において特定地域とする地域では、人員配置基準の緩和が進められ、特定地域における担い手不足に対し、少ない人員で対応することを認めている。障害福祉では、すべての施設・事業が対象とされ、人員配置基準を緩和した「特定地域施設・事業所」の指定を可能にしている。担い手不足は人員配置基準の緩和によって解決するはずもなく、地域間格差、介護・福祉の質の低下や虐待、現場職員の疲弊、介護・福祉職の離職などの加速が懸念される。医療的ケアを含む高度で継続的な支援が必要な障害のある人の実態を踏まえると、人員配置基準の緩和や効率化優先の制度改革は命にも関わることである。また、法案には担い手不足への対応として、福祉人材確保のための協議会の設置が盛り込まれている。しかし、福祉人材不足の真因は、民間企業との賃金格差、過重な労働にあることは自明である。財源確保を正面に据えない限り、何を為しても的外れとなろう。障害のある人への支援をはじめとする社会福祉事業には高い専門性が求められ、それにふさわしい待遇が早急に確保されなければならない。

2.包括的支援事業の名のもとの介護保険と障害福祉の統合方針に関して

 障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)の構想時には、障害福祉と介護保険の統合が意図されていた。しかし、障害当事者をはじめ、関係者の強い反対の声に押され、いったんは自立支援法を撤回し障害者総合支援法の道をたどった。この障害者総合支援法は、その本質において、介護保険法と共通する点が少なくなかった。今回の社会福祉法改正では、包括的な支援体制整備として、包括的相談支援の構築を求めている。実際の支援現場では、すでに必要に応じて高齢・子ども・障害の連携は進められており、法改正の必要性の根拠は乏しい。背景に障害福祉サービスを保険原理の中に位置づけたいとする意図を感じざるを得ない。いわゆる統合問題については、訴訟にまで発展し、その象徴とされた応益負担制度の廃止をもって既に決着をみている(障害者自立支援法違憲訴訟に伴う基本合意文書参照)。蒸し返されることがあってはならない。

3.当事者不在の法改正審議の問題

 日本が批准している障害者権利条約は、制定過程で「私たち抜きに私たちのことを決めないで」が繰り返された。条約本体でも政策面を中心に重要な事柄の決定過程への当事者参加を求めている。しかし、今般の9本の法律の束ね法案は、当事者不在といわざるを得ない。加えて、政省令に委ねられている点が多く、白紙委任を求められているも同然である。障害のある人や支援が必要な高齢者にとって、その生活や健康、命に関わる法改正である。「私たちのことを私たち抜きに決めないで」の理念の下、当事者や家族、支援者たちの声をじっくりと聴き、実態とニーズに沿った法整備を検討すべきだ。



 

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