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26年5月19日更新

声明 社会福祉法改正案国会上程にあたって 拙速でなく慎重な審議を求める

〇社会福祉法改正案国会上程にあたり、JDは5月19日に声明を発表しました。

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2026年5月19日




声明

社会福祉法改正案国会上程にあたって

拙速でなく慎重な審議を求める


 

 

 4月3日、社会福祉法等の一部改正案が閣議決定され、第221国会に上程された。 9つの法律の束ね法案とされる社会福祉法改正案が、衆院先議で審議に入っている。障害のある人の地域生活に大きな影響を及ぼす法案であるが、障害分野をはじめ、社会福祉分野の関係者間での十分な検討が行なわれないままであり、文字通り関係者不在で成立に向かおうとしている。法改正の背景として、急速な人口減少と高齢化、担い手の不足などをあげている。これらの解消を、住民の"自助・互助・共助"に依拠して、必要な財政措置をとらないまま解決したい、との政府の姿勢が透けて見える。以下、問題点について3点にわたって指摘する。国会での審議に反映していただきたい。

1.人員配置基準の緩和・担い手不足への対応
介護保険法改正において特定地域では、人員配置基準の緩和が進められようとし、高齢分野からは危機的状況を回避すべく緊急要望が提出されている。改正案では、特定地域における担い手不足に対し、少ない人員で対応することを認めている。障害福祉サービスにおいても、人員配置基準等を緩和した「特定地域施設・事業所」の指定を可能としている。人員配置基準の緩和によって、地域間格差、孤立死、介護殺人、高齢者虐待、介護離職などの加速が懸念される。医療的ケアを含む高度で継続的な支援が必要な障害のある人の実態を踏まえると、人員配置基準の緩和や効率化優先の制度改革は慎重でなければならない。

 また、法案には担い手不足への対応として、福祉人材確保のための協議会の設置が盛り込まれている。しかし、福祉人材不足の真因は、民間企業との賃金格差、過重な労働にあることは自明である。財源確保を正面に据えない限り、何を為しても的外れとなろう。障害のある人への支援をはじめとする社会福祉事業には高い専門性が求められ、それにふさわしい待遇が早急に確保されなければならない。

2.包括的支援事業の名のもとの介護保険と障害福祉の統合方針に関して
 障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)の構想時には、障害福祉と介護保険の統合が意図されていた。しかし、障害当事者をはじめ、関係者の強い反対の声に押されて、いったんは自立支援法を撤回し障害者総合支援法の道をたどった。この障害者総合支援法は、その本質において、介護保険法と共通する点が少なくなかった。今回の社会福祉法改正では、包括的な支援体制整備として、包括的相談支援の構築を求めている。実際の支援現場では、すでに必要に応じて高齢・子ども・障害の連携は進められており、法改正の必要性の根拠は乏しい。背景に障害福祉サービスを保険原理の中に位置づけたいとする意図を感じざるを得ない。いわゆる統合問題については、訴訟にまで発展し、その象徴とされた応益負担制度の廃止をもって既に決着をみている(障害者自立支援法違憲訴訟に伴う基本合意文書参照)。蒸し返されることがあってはならない。

3.当事者不在の法改正審議の問題
 日本が批准している障害者権利条約は、制定過程で「私たち抜きに私たちのことを決めないで」が繰り返された。条約本体でも政策面を中心に重要な事柄の決定過程への当事者参加を求めている。しかし、今般の9本の法律の束ね法案は、当事者不在といわざるを得ない。加えて、政省令に委ねられている点が多く、白紙委任を求められているも同然である。障害のある人や支援が必要な高齢者にとって、その生活や健康、命に関わる法改正である。「私たちのことを私たち抜きに決めないで」の理念の下,当事者や家族、支援者たちの声をじっくりと聴き、実態とニーズに沿った法整備を進めるべきだ。
 



 

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