26年3月18日更新
認定基準など障害年金に関する課題を検討し、親・家族に依存することのない所得保障制度の確立を求める要望書〇JDは3月17日に障害年金制度および所得保障制度に関する要望書を厚労省と日本年金機構に提出しました
厚生労働大臣 上野賢一郎 様
日本年金機構理事長 大竹和彦 様
認定基準など障害年金に関する課題を検討し、
2024年度の障害年金の新規裁定では、非該当とする不支給決定数が18,982件(13.0%)となり、前年(2023年度)の11,947件(8.4%)から大きく上昇した(年金機構:2025)。
親・家族に依存することのない所得保障制度の確立を求める要望書
特に精神障害では、非該当割合が2023年度の6.4%から2024年度は12.1%へと約2倍となった。また、精神の障害に係る等級判定ガイドラインにおける等級の目安より下位に認定され、不支給となった割合が、2023年度の44.7%から2024年度は75.3%へと急増している。この要因については明確にされておらず、判定の透明性と説明責任の確保が急務である。
このような状況に対しては、2025年5月9日に公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)が要望書を、7月10日には日本弁護士連合会が会長声明を出している。
さらに2025年12月には、障害年金の審査において、日本年金機構の職員が認定医の判定結果を記す「認定調書」を破棄するなどして、別の認定医に審査を依頼し直す運用があったとの報道もなされた。厚生労働省が調査に入り、結果が2026年1月16日に発表された。しかし、その内容には疑問点が多く指摘され、日本弁護士連合会は1月30日に新たな会長声明を発した。厚生労働省から独立した第三者調査委員会の設置、障害認定基準など、障害年金に関する課題を検討する専門家検討会の設置を求めている。
日本障害者協議会は、障害当事者団体、支援する専門職団体などが連携し、障害のある人の社会参加、障害者権利条約の実現などを求めて活動している。加盟団体であるきょうされんの2024年7月調査報告書では、回答者の78.6%が年収127万円の「貧困線」を下回る相対的貧困状態にあり、生活保護受給率も国民全体の7倍以上、という結果が示されている。親や家族に依存せざるを得ない生活となり、障害者本人も家族も高齢化が進む中で、ますます厳しい状況に追いやられている。年金をはじめとする障害者の所得保障制度の検討は喫緊の課題である。
また、加盟団体からは、「就労していると年金が不支給・低い等級となるのでは」という不安や、「離職後の再申請のハードルが高い」といった切実な訴えも多く寄せられている。障害認定が心身の機能障害を中心とした医学モデルに偏り、生活実態や社会的障壁、必要な支援・合理的配慮といった社会モデルの視点に乏しいとの指摘も多い。社会状況も変化し、多様な働き方が広がる中で、本人の生活や支援の実態に即した認定のあり方への見直しが必要である。
2022年に出された国連障害者権利委員会の総括所見では、条約28条「相当な生活水準及び社会的な保障」との関連で、「障害年金が市民の平均所得より著しく低いこと」を懸念し、「障害者団体と協議の上、障害年金の額に関する規定を見直すこと」を勧告している。
こうした現状を踏まえ、障害年金と関連する課題について早急の検討を行うことが必要であり、以下の3点を要望する。
1.障害年金に特化した検討を行う委員会等の設置
現在の社会保障審議会年金部会では障害年金についてはほとんど議論されておらず、まずは障害認定基準をはじめ障害年金の課題について検討する専門的な委員会等の設置を求めたい。障害当事者・家族へのヒアリングなども丁寧に行い、社会状況の変化や障害のある人のニーズに合致した障害年金制度のあり方について検討を行っていただきたい。
2.障害認定システムの再構築と妥当性を評価する第三者組織の設置
最重要課題とも指摘される障害認定については、保健・医療・福祉関係者による合議制での審査とし、専門職による訪問調査を行い、障害者の生活実態を踏まえた障害認定システムの再構築を求めたい。また、「恣意的」などの批判もあり、認定結果の妥当性を評価する第三者的な外部組織を設置していただきたい。障害支援区分の審査会のような、多職種による構成が望ましいと考える。
3.障害者の貧困実態に関するデータ分析と結果の公表
国連の総括所見で懸念された障害者の生活水準について明確にするためにも、障害者の相対的貧困率などを算出し、その結果を公表していただきたい。2022年の国民生活基礎調査に基づき、 ひとり親世帯の貧困率は44.5%などが示されている。客観的なデータをもとに、障害者の貧困の実態や就労と所得との関係などについて明らかにし、その結果を公表することにより、障害年金や所得保障制度の在り方について検討する基盤を整えていただきたい。
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