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24年12月20日更新

障害年金改正に関する意見書

○JDは12月20日に障害年金の改正に関する意見書を厚労省に提出しました

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2024年12月20日

厚生労働大臣 福岡 資麿さま

 

障害年金改正に関する意見書

 

NPO 法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳

 

 

 現在、厚生労働省社会保障審議会年金部会において、2025年度の年金制度改革に向けた検討が進められ、障害年金に関しては約40年ぶりの見直しです。検討にあたっては、日本が2014年1月に批准した障害者権利条約第28条「相当な生活水準及び社会的な保障」、2022年9月に国連障害者権利委員会から出された総括所見で「障害者団体と協議の上で障害年金の額に関する規定の見直し」が求められていることを踏まえ、以下の論点について十分な議論を尽くしていただくことを求めます。また、2024年3月に出された障害年金法研究会の意見書、4月の日本弁護士連合会からの提言書の指摘事項なども考慮してください。


1 障害年金制度のあり方の抜本的な見直し

 自ら収入を得ることが難しい障害者も多く、障害者の所得保障制度について改めて検討を求めます。1985年の改正で「全国民で支える」という基礎年金制度が創設され、障害基礎年金が確立されましたが、約40年間支給水準が変わっておらず、障害者の生活実態は好転していません。また、不合理な認定制度によって無年金や等級引き下げなどの深刻な状況も生じています。障害年金制度のあり方を抜本的に見直してください。


2 障害者団体との協議に基づく障害年金の見直し

① 障害者権利条約は障害者の参画のもと、策定されてきました。障害年金制度の改正過程にも障害当事者の参画は必須です。日本障害フォーラムと内閣府、厚生労働省、日本年金機構などでの協議を求めます。
② 政府が障害者権利条約の国内監視機関と位置づけている障害者政策委員会では年金に関する審議が行われていません。早急に委員会の審議事項とし、次期の改正に総括所見を反映して下さい。
③ 社会保障審議会年金部会には障害当事者が参加していません。早急に障害者NGOの代表を複数加え、障害年金ワーキンググループの設置などを進めて下さい。


3 障害者の生活水準が国民の平均と比較して著しく低い実態についての解明

① 障害者権利条約では「他の者との平等」が求められていますが、障害のある人とない人との間に著しい生活格差が存在することは明らかです。「国民生活基礎調査」の「日常生活における支障」から生活実態を明確にして下さい。
② 「国民生活基礎調査」の一人親世帯などと同様、障害のある人とない人との所得格差、そして障害のある人々の相対的貧困率を早急に公開して下さい。


4 障害者の就労保障と有機的に関連した障害年金のあり方についての検討

 総括所見では福祉的就労を含め、障害者が極めて不安定な労働・雇用環境にあることを懸念しています。稼得能力の喪失に対する就業保障と年金とが有機的に関連することは当然ですが、障害間格差があるという調査結果もあります。今後の障害年金の改正に向けては、就労保障と有機的に関連したあり方を検討して下さい。
 参考:障がい者制度改革推進会議総合福祉部会「障害者総合福祉法の 骨格に関する総合福祉部会の提言」(2011年8月)に「賃金補填と所得保障制度(障害基礎年金等)のあり方の検討」が示されています。


 

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