24年11月01日更新
○JDは10月18日、障害のある人びとの投票行為に関する要請を総務省に申し入れ、その後、会見を行いました。
2024年10月18日
総務大臣 村上誠一郎 殿
要望書
認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
2022 年5 月31 日、当会は総務大臣への要請書にあるように、障害者権利条約と差別解消法などから、障害のある人びとの投票行為において「合理的配慮を欠くは差別」として、問題事例の改善を求めた。「すべての人に投票の壁をなくそう」「投票に行こう」など少なくない障害者団体の要請や知的障害のある青年たちの学習会の広がり、マスコミの大きな報道もあった。
こうしたなか、総務省・中央選挙管理委員会は、参議院選挙を前に「事務連絡」を通知し、各選管から寄せられた事例や意見を貴省ホームページ含め、都道府県・市町村選管に情報提供されたことに感謝したい。しかしながら、地域格差は大きく、対応マニュアルの作成と活用が求められている。
私どもは、この度の総選挙にあたって、1000 万人を越える障害のある人びとや投票行為に困難を抱えるすべての人たちの選挙の改善、環境整備の徹底を求めます。また、各選挙管理委員会でできることは直ちに実施するとともに、以下のことを要請します。
1)障害者権利条約・総括所見、障害者差別解消法等に基づき、障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」の徹底と対応マニアルの作成と活用
〇各選挙管理委員会ごとの「対応要綱」の策定と具体的「対応計画」を持つよう指導してください。また、障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に関わる研修・啓発の徹底。
〇障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に係る実態を調査し、必要な改善をすすめる。とりわけ、投票所の設置・人的配置等において選挙管理委員会の対応に格差が生じており、「合理的配慮」のための積極的なとりくみを踏まえた、格差解消をすすめること。
2)障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に欠く問題の早急な解消
〇投票所のバリフリー
・投票所は期日前投票所を含め、すべての人の移動可能な場所に設置するとともに、段差の解消、車いす用トイレの設置などバリアフリー化を徹底すること。
・記載台が不安定で記載できないことから、広くて安定した、高さ調整も可能なものにするよう徹底すること。
・視覚障害のある人に対し、点字板、照明具の設置および候補者名簿の点字版・拡大文字版の用意を徹底すること。
・投票の仕方の説明など、投票所に研修を受けた案内・誘導などの人的配置を徹底すること。
・盲ろう者に対し、係官との意思疎通を円滑にはかるため、投票所内に同行している通訳や介助者が入れるようにすること。
〇投票方法の改善
・投票制度は、投票所に行って自筆で書くことが原則になっているが、このことが困難な場合、郵便投票・代理投票があることを周知徹底すること。
・郵便投票は、介護保険「要介護5」、障害者手帳の両下肢・体幹・移動機能障害の1級、2級、心臓などの内部障害1級または3級など対象が限定されている。希望するすべての障害のある人を対象にするとともに、その手続きの簡素化をすすめること。
・2003 年の公職選挙法改正において、郵便投票での家族代筆が認められた。それだけでなく「巡回投票」の必要性についても附帯決議された。早急に具体化するよう検討すること。
・代理投票は、「代筆役」と「見守る役」の2名を補助者として選挙管理委員会の職員に限定している。その際の不正防止とプライバシーへの配慮を徹底すること。
〇情報のアクセシビリティ
・「義務制選挙公報」(衆参両院議員選挙・都道府県知事選挙)は、候補者を選択する上で、一日も早く発行・送付されるよう都道府県選挙管理委員会を指導すること。また、視覚障害がある人に対し、点字・音声・拡大文字などの選挙情報を選挙公報として位置づけ、各選挙管理委員会の責任で発行するよう徹底すること。
・政党の任意に委ねられている手話通訳の配置を改め、すべての政見放送などに国の責任で手話通訳・字幕等を配置し、聴覚障害のある人に対する情報提供を徹底すること。
・知的障害や発達障害のある人に対し、フリガナやわかりやすい選挙公報の発行・送付とともに、投票所の記載台前に候補者の写真を提示するなどの合理的配慮をするよう周知徹底すること。
〇選挙と福祉・医療の連携
・投票所への移動にあたって、いわゆる「政治的活動」としてガイドヘルパー等の福祉サービスが利用できない現状を改めること。また、同行援護制度におけるガイドヘルパーは投票所の入口までしか行くことができない。投票所内における係員が適切な誘導や配慮できるよう研修を徹底すること。
・病院・高齢者施設・障害者施設など、入院・入所している人の投票については、「概ね50 人以上」の指定基準を緩和して、希望する医療・福祉施設が「不在者投票施設」(指定病院等)に指定されるようにすること。
フッターメニュー