24年10月15日更新
○2024年7月3日の最高裁大法廷での勝訴判決、7月17日総理大臣謝罪、9月30日基本合意書締結、そして10月8日には衆参両院での謝罪決議、「補償法」制定と、優生保護法問題は大きく動いてきました。
この大きな節目にJDの声明を発表します。
2024年10月11日
声明
優生保護法問題の全面解決を求めて
NPO法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
2024年7月3日の最高裁大法廷での違憲判決、7月17日総理大臣はじめ関係大臣による謝罪、9月30日基本合意書締結、そして、10月8日には、「旧優生保護法に基づく優生手術等の被害者に対する謝罪とその被害の回復に関する決議」が衆参両院で採択され、中絶手術を受けた人も含めて「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」(補償法)も成立した。
原告たちが勇気を振り絞って訴え,粘り強い運動を続け、全国各地の弁護団の献身的な努力、幅広い団体で組織された「優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会」(優生連)の三者がまとまって取り組んできたことが、高く厚い大きな壁を崩した。しかし、優生保護法問題の全面解決に向けては、その一歩を踏み出したにすぎない。全面解決に向けて以下の三点を求めたい。
1.すべての被害者に「補償法」を周知し、相談体制を整え、補償と尊厳の回復を
旧優生保護法一時金支給法に基づく認定者数は1129 件(2024年8月末)にとどまっている。被害者やその家族のプライバシーや心情に十分な配慮をしながら、あらゆる方法を駆使して、必要な情報を迅速に届けていくことが、国や自治体の責務である。メディアや市民社会の協力も得ながら、一刻も早く必要な情報を被害者に届け、補償と尊厳の回復のために取り組んでいくこと。
2.優生保護法問題の本質を広く市民社会に知らせ、障害者政策の好転を
今般の補償法の制定等をもってしても、優生保護法問題の全面解決にはほど遠い。優生保護法の歴史や被害の実態について学校教育や広く市民に伝えていくことが必要だ。そして、国連から厳しく指摘された精神科医療の問題、障害女性らの抱える複合差別の問題等々、今なおとり残されたままの障害分野の課題の解決に本格的に動き出すべきである。優生思想に基づく差別や偏見の根絶に向けて、問題の本質を多くの市民社会に伝えることも国や自治体の責務である。その際、障害当事者の意見を反映し、いっしょに進めていくことを忘れてはならない。
3.調査・検証の実施及び国内人権機関の創設を
二度と同じ過ちを繰り返さないために、今後の調査・検証のあり方が問われている。第三者性や独立性を担保しつつ、徹底的な調査及び検証を実施するための体制整備が急務だ。障害者権利条約とパリ原則に沿った国内人権機関の設置も含め、原告、弁護団、優生連の参加のもと、早急に検討すべきだ。そして、優生手術に関する記録・資料の保存、優生保護法の問題を後世に伝える資料館の開設なども検討していくことを求める。
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