24年10月7日更新
〇2024年9月30日に優生保護法基本合意が締結されたことを受け、以下の声明を発表しました。
2024年10月4日
声明
優生保護法裁判 基本合意書締結にあたって
NPO法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
2024年9月30日、優生保護法被害全国原告団、優生保護法被害全国弁護団及び優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)と国(内閣府特命担当大臣<こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画>)は、こども家庭庁において、基本合意書を締結した。優生保護法被害者の長年にわたる闘いは大きな節目を迎えた。しかし、謝罪する大臣を前になぜこれほどの時間を要したのか、また各裁判で国側が述べてきた見解(当時は合法だった、除斥期間主張など)が想起された。
衆議院解散も報道される中、基本合意書を国が誠実に遵守し、補償法を制定し、全ての被害者の補償のために誠実な履行を監視するのは私たち市民社会の責任である。そして、被害者の多くは高齢であり、国会の都合に左右されることなく、国は全面解決に向けて誠実に迅速に法整備や国会決議による謝罪を行なわなくてはならない。基本合意書締結にあたって次の3点を強く求めたい。
1.すべての被害者に補償を
政府や地方自治体は、さまざまな方法を駆使し、被害者のプライバシーを守りながらすべての被害者に補償と名誉と尊厳の回復を図ることが喫緊の義務である。さらに現存している精神科病院や障害者施設の保存資料の総点検などを迅速に行ない、新たな被害者の掘り起こしを行なうこと。その際には障害福祉や医療関係者、メディアの協力を求めていくこと。
2.優生保護法の被害に見合った「補償法」の制定を
最高裁判決は、立法時から日本国憲法に違反してきたと断じた。優生保護法を制定した国会の責任は重い。国会は、最高裁大法廷判決、総理談話、基本合意書の水準を凌駕する謝罪決議を行ない、原告、弁護団、優生連関係者を国会に招請し、優生保護法問題の集中審議を行なうこと。
3.検証の実施及び国内人権機関の創設を
二度と同じ過ちを繰り返さないために、第三者機関による徹底的な調査及び検証を実施するとともに、障害者権利条約とパリ原則に沿った国内人権機関の設置が必要である。また、国に対して、優生保護法の全面解決に向けて、原告、弁護団、優生連と継続的、定期的に協議の場を設けることを求める。そして、市民社会の私たちは優生思想に基づく障害者差別、偏見を社会から根絶することに全力を尽くすことを決意する。
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