24年7月24日更新
○優生保護被害者に対しての総理大臣の謝罪は全面解決への一歩です。全面解決に向けて声明を発表しました。
2024年7月24日
声明
優生保護法問題全面解決に向けて
NPO法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
2024年7月17日、総理官邸に優生保護法裁判の原告、弁護団、支援者ら約130人が集まった。岸田文雄内閣総理大臣は、原告らに対して、7月3日の最高裁判決を重く受け止め、旧優生保護法が憲法違反であり、優生手術は個人の尊厳を蹂躙する、あってはならない人権侵害であり、政府の責任は極めて重大、政府を代表して謝罪すると述べた.原告1人1人の話を聞き、面談の最後の挨拶では早急な訴訟の解決、被害を受けた幅広い人たちへの補償、適正な補償額、新たな補償の仕組みを創設するための議員立法、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証、優生思想、障害者差別の根絶に向けた恒久的対策が必要性であると述べた。
総理大臣の謝罪は、優生保護法問題の全面解決への第一歩であろう。しかし、原告はじめ優生保護法の被害にあった人たちは高齢であり、解決に向けて迅速に動き出さねばならない。全面解決に向けて以下の4点を強く求めたい。
1.優生保護法被害者への補償に関する基本合意の締結と法律の制定
配偶者等を含むすべての被害者に対して、甚大な被害にふさわしい補償を早急に実施すること。並行して、原告ならびに弁護団、優生連との協議のもとで、基本合意文書を作成し、その締結ならびに新法制定の準備に入ること。
2.優生保護法被害の補償に関する情報の周知について
一時金支給法の認定者数は未だ1,119件(2024年6月末)に留まっている。厚労省の調査による25,000人の被害者からすれば、余りにも少ない。被害を受けた人や家族への補償に関する周知方法については、慎重に進めつつも関係者の意見を聴きながら必要な通知や情報が被害者に届くように特段の努力と工夫が必要である。
3.優生保護法問題に関する検証と再発防止策の策定
優生保護法被害者を生み出してきた背景、優生保護法被害の実態解明、優生思想の社会への蔓延と浸透の実態、長年にわたって被害者に向き合ってこなかった理由、今日の障害者政策への優生保護法の影響の有無などについて、多角的で精緻な検証が求められる。検証体制の設置にあたっては第三者性が確保されなければならない。合わせて再発防止策を国の各省庁を包括して策定し、「優生保護法問題解決のための基本法」(仮称)を法制化していくこと。
4.国内人権機関の設置
障害者権利条約(第33条)ならびに国連障害者権利委員会は、日本に対する総括所見(2022年9月)で、人権の保護に関する広範な権限をもつパリ原則に沿った国内人権機関の設置を求めている。優生保護法被害の再発防止策としても国内人権機関の設置は有効であり、設置に向けて早急に検討に入ること。
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