23年12月15日更新
<報告>
2023年12月14日、厚生労働省記者会にて、来年度からの介護保険改正及び障害福祉報酬改定に強い危機感をいだく団体が共同で記者会見を行ない、緊急共同声明を発表しました。
記者会見の冒頭、ウィメンズアクションネットワーク代表の上野千鶴子さんは、こうした共同のとりくみが「前代未聞」であること、それだけ強い危機感をいだいていることを強調しました。
日本障害者協議会の藤井克徳代表は開口一番「居ても立っても居られない思いでいる」と切り出し、「障害分野も介護分野も破綻、そして崩壊の状況に入っている。その崩壊も、事業者だけでなく、家族が介護離職に追い込まれる、当事者の生活が成り立たないなど、崩壊の連鎖につながる」と強い口調で訴えました。
また、きょうされんの斎藤なを子理事長は、同会が今年実施した職員不足の実態調査などをもとに、当事者そして事業所の現場が深刻な状況にあることを強調したうえで、「支援者不足により、障害のある人の食事や入浴、寝返り介助まで削減せざるをえない、大変な状況を招いている。制度の持続可能性と言われるが、これでは障害のある人も事業所も持続できない状況になる」と語りました。
きょうされんでは、障害福祉報酬改定にあたっては、団体署名にとりくみながら、年明けからは国会議員に対するロビイングなども行なう予定です。ひきつづき、とりくみにご協力ください。
(文責 きょうされん坂下共)
記者発表はウィメンズアクションネットワークのHPのyou tubeで聞くことができます→
https://www.youtube.com/watch?v=DSI-vCXbBw4
介護保険法・障害者総合支援法の改悪に反対する
緊急共同声明
2024年度からの介護保険の改正と介護保険報酬及び障害報酬改定の検討が大詰めを迎えています。要介護高齢者や障害者の実態やニーズをないがしろにした改定の方向に私たちは強い危機感をいだいています。介護保険分野では、保険料を払い続けても必要なときにサービスを受けられない「詐欺」とさえいえる状況が近づいています。これまで介護保険制度にならうかたちで制度改悪を経験してきた障害分野も大きな危惧を抱いています。
介護・障害分野とも多くの課題がありますが、特に今般の介護・福祉人材難はこれまでになく深刻で、もはや危険水域に達しています。
介護分野では、高額になった保険料の負担は限界に近づき、利用者負担の1割から2、3割への引き上げは、必要なサービスも使えない利用抑制をもたらすでしょう。他方、ケアマネジャーや訪問ヘルパー、介護職員等が減り続け、人手不足から必要な支援を受けられない事態が始まり、家族には介護離職など生活崩壊の危機が深まるでしょう。
障害分野では、障害当事者の働く場はもとより、生活を支えるグループホーム・ホームヘルパーなどで、職員を何度募集しても集まらず、グループホームなどでは管理職が日々夜勤に入る綱渡り状態で障害のある人の生活といのちを支えています。
大企業や公務員を中心に賃上げのニュースが流れる中、不安定な運営を強いられている介護及び障害分野では、職員の賃上げもままなりません。今回の改定で十分な報酬アップがなければ介護及び障害現場の人材不足と職員の疲弊はより悪化し、取り返しのつかない状況に追い込まれます。しかし介護保険においては報酬増の負担を利用者や被保険者に求めることも限界となり、国庫負担の投入を増大することが必要となっています。
両制度とも根本的な見直しが必要であることはいうまでもありません。まずは「介護・福祉のある暮らしを」守るために、両報酬改定の結論が出されようとする今、以下のとおり求めます。
記
1.要介護高齢者、障害者の尊厳ある生活を崩壊させないこと。また家族の介護離職を招かない制度とすること。
2.介護や障害福祉の現場で働く職員が安定して働き続けることができるよう賃金を全産業の平均までに引上げること。
3.両制度ともに基本報酬を大幅に引き上げること
4.利用者負担の増額や介護サービスの抑制を行わないよう、国庫補助を大幅に引き上げること
認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク 理事長 上野千鶴子
NPO法人高齢社会をよくする女性の会 理事長 樋口恵子
公益社団法人認知症の人と家族の会 代表 鎌田松代
NPO法人日本障害者協議会 代表 藤井克徳
きょうされん 理事長 斎藤なを子
高齢社会をよくする女性の会大阪 代表 植本眞砂子
ケア社会をつくる会 世話人 小島美里 中澤まゆみ
2023年(令和5年)12月14日
フッターメニュー