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23年3月23日更新

声明 国は国連勧告を全面的に受け入れ精神科医療の抜本的改革を

○報道等で明らかになった滝山病院事件、国に対して国連勧告を全面的に受け入れ、精神医療の抜本的改革を求めてJDは声明を発表しました。


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2023年3月22日

声明 国は国連勧告を全面的に受け入れ精神科医療の抜本的改革を
滝山病院事件を繰り返さないために

 

認定NPO法人日本障害者協議会
代表 藤井 克徳

 

 

 2023年2月15日、東京都八王子市にある滝山病院の看護師が暴行容疑で逮捕された。凄まじい虐待や身体拘束、暴言が常態化し、患者の人間としての尊厳が根こそぎ奪われていることがテレビや新聞で明らかになった。同病院の死亡退院率の高さ、医師や看護職員等の配置が少ないことは「東京都地域精神医療業務研究会」が30年も前から問題を指摘してきた。しかし、国も自治体も問題を解決しようとせず、放置し続けてきた。


 1984年、看護職による暴行で2人の患者が死亡した宇都宮病院事件、1993年には、暴行死を機に廃院となった大和川病院事件、2020年、卑劣な性虐待で6人の看護師が逮捕された神出病院事件等、あげればきりがない。2001年の埼玉県での朝倉病院事件では、過剰な治療と40人もの不審死、診療報酬の不正請求で院長は保険医の資格を取り消され、事実上の廃院となった。当時の朝倉病院の院長だった朝倉重延医師が、滝山病院院長だ。こうした虐待事件がなぜ繰り返されるのか、障害のある人や家族を含む、多様な意見をもつ人たちを加えた検証を早急に行うべきである。


 滝山病院事件を特殊な例と捉えるのは大きな誤りだ。被害を受けている多くの患者の姿を映像で映し出した報道によって精神科医療の闇を浮かび上がらせたのだ。精神科医療の闇はその構造的問題に依拠しているのであり、この闇を容認し、放置し続けることは許されない。精神医療改革に向けては待ったなしだ。小手先の修正では間に合わない。


 2022年9月、国連障害者権利委員会は日本政府に対する「総括所見(勧告)」を発表した。精神障害者の強制治療を合法化し、虐待につながるすべての法規定の廃止、精神科病院での死亡事例の徹底究明、強制治療、残虐行為などの廃止、精神科病院における残虐で非人道的また品位を傷つける取り扱いを報告するための利用しやすい仕組み、被害者への効果的な救済策、加害者の起訴及び処罰を確保せよと求めている。国はこの国連勧告を全面的かつ速やかに受け入れ、滝山病院事件の被害者の救済、精神保健福祉法の廃止を含めた抜本改革など、精神科医療の構造的問題の解決は国の責務であり、一刻も早く着手すべきである。




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