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22年10月18日更新

声明 旅館業法改正法案に関して

○JDは、2022年10月7日に国会に上程された旅館業法改正案が障害や疾患のある人への差別を助長しかねないとの懸念から声明を発表しました。

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2022年10月18日

声明
旅館業法改正法案に関して

 

認定NPO法人日本障害者協議会
代表 藤井克徳

 

 

 2022年10月7日、旅館業法改正案が上程された。旅館やホテルなどの事業者が、宿泊者に対する宿泊拒否の理由を拡大する法案であり、障害や疾患のある人たちへの新たな差別が助長されることが危惧され、看過できない。
 2003年11月に熊本県内の旅館で宿泊予約をしていた人が菊池恵楓園の入所者であることがわかり宿泊が拒否されるという事件が起こった。すでに国がハンセン病隔離政策の誤りを謝罪した後であったが、社会の中にある差別や偏見の根深さを露呈した。それから20年近くが経過するが、障害や疾患のある人に対する社会の偏見差別、優生思想は、市民社会から一掃されたとは言い難く、格差がますます広がる昨今、むしろ強まりをみせている。

 折しも、国連障害者権利委員会は日本の障害者権利条約の履行状況に対する総括所見(勧告)を公表した(2022年9月9日)。その中で、「障害者に対する否定的な固定観念、偏見、有害な慣行の排除」が勧告され、加えて、障害に基づく差別の被害者が利用しやすい苦情や救済の仕組みがないことへの懸念を示している。障害や疾患のある人たちの中には、声の上げづらい人たちも多い。苦情や救済の仕組みが脆弱な中で、新たな偏見・差別を生み出す法改正は、差別を受けてきた側に立つべきで、十分すぎるほどのデリカシーと慎重さが求められる。改正の動きは、批准した障害者権利条約や障害者基本法などの理念とも正反対であり、障害のある人の多くは恐怖におののいているのが実情である。
 多くの障害関係団体がこの法改正に対し、懸念や危惧、改正に反対との声を上げる中で、誤った法改正が行われないことを強く要請したい。

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