障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

22年6月16日更新

要請書「障害者の投票行為における合理的配慮を欠く問題事例の改善を」

資料「投票における合理的配慮を欠く問題事例の改善を求める201の事例・要望集」

○JDは5月31日、資料「投票における合理的配慮を欠く問題事例の改善を求める201の事例・要望集」を携えて、要請書「障害者権利条約、障害者差別解消法等に基づき、障害者の投票行為における合理的配慮を欠く問題事例の改善を」に基づいて総務省に申し入れ、その後、会見を行いました。

 

要請書「障害者の投票行為における合理的配慮を欠く問題事例の改善を」

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資料「投票における合理的配慮を欠く問題事例の改善を求める201の事例・要望集」

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○NHKは特設サイト「みんなの選挙」をオープン。2022年6月1日おはよう日本で放送されたJDの総務省への申し入れや会見の様子のニュース映像「障害のあるひとが投票しやすい環境を」も見られます。

URLはこちら→https://www3.nhk.or.jp/news/special/minnanosenkyo/

2022年5月31日



総務大臣 金子恭之 殿

認定NPO法人 日本障害者協議会(JD)

代表 藤井 克徳

要請書

障害者権利条約、障害者差別解消法等に基づき、

障害者の投票行為における合理的配慮を欠く問題事例の改善を

 

 

 2021年10月の衆議院選挙では、投票率は56%と低く、そのうち期日前投票数は約19%にあたる2000万人を越えています。いうまでもなく、投票はきわめて重要な政治参加の権利ですが、障害のある人びとへの合理的配慮を欠く問題事例が寄せられています。
 投票においては、環境整備が推進され、「合理的配慮の提供を欠く」という差別は許されません。それは障害者権利条約(第29条 政治的及び公的活動への参加)に反し、障害者差別解消法において定められた、「必要かつ合理的な配慮(「合理的配慮」)を行う」という義務に違反します。
 私たちのよびかけに、2021年12月20日より2022年3月末日までにたくさんの事例や要望が寄せられました。それを整理し「201の事例・要望集」としてまとめました。参議院選挙を前に、ぜひ、関係する各選挙管理委員会などでご参照いただき、障害のある人の投票における環境整備が推進され、合理的配慮を欠くことのないよう適切な改善をお願いいたします。
 また、とりわけつぎの項目を要望させていただきます。

〈要望項目〉
1.障害者権利条約、障害者差別解消法等に基づき、障害者の投票行為における
「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」を徹底してください。

(1)「総務省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」(2015年1月30日 総務省訓令第43号)をすべての選挙管理委員会に徹底させてください。 (2)各選挙管理委員会ごとの「対応要綱」の策定と具体的対応計画を持つよう指導してください。また、障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に関わる研修・啓発を徹底してください。 (3)障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」に係る実 態を調査し、必要な改善をすすめてください。とりわけ、投票所の設置・人的配置等において選挙管理委員会の対応に格差が生じており、「合理的配慮」のための積 極的なとりくみを踏まえた、格差解消をすすめてください。 (4)障害者の投票行為は憲法第15条に保障された権利であり、環境整備が推進され「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」が「過重な負担」を理由に不履行、制限されることがないようにしてください。

 

2.障害者の投票行為における「合理的配慮」「不当な差別的取扱いの禁止」
に欠く問題を早急に解消してください。

(1)情報のアクセシビリティ

1)「義務制選挙公報」(衆参両院議員選挙・都道府県知事選挙)は、候補者を選択する上で、一日も早く発行・送付されるよう都道府県選挙管理委員会を指導してください。また、視覚障害がある人に対し、点字・音声・拡大文字などの選挙情報を選挙公報として位置づけ、各選挙管理委員会の責任で発行するよう徹底してください。 2)政党の任意に委ねられている手話通訳の配置を改め、すべての政見放送などに国の責任で手話通訳・字幕等を配置し、聴覚障害のある人に対する情報提供を徹底してください。 3)知的障害や発達障害のある人に対し、フリガナやわかりやすい選挙公報の発行・送付とともに、投票所の記載台前に候補者の写真を提示するなどの合理的配慮をするよう徹底してください。

 

(2)投票所のバリフリー

1)投票所は期日前投票所を含め、すべての人の移動可能な場所に設置するとともに、段差の解消、車いす用トイレの設置などバリアフリー化を徹底してください。 2)記載台が不安定で記載できないことから、広くて安定した、高さ調整も可能なもの にするよう徹底してください。 3)視覚障害のある人に対し、点字板、照明具の設置および候補者名簿の点字版・拡大文字版の用意を徹底してください。 4)投票の仕方の説明など、投票所に研修を受けた案内・誘導などの人的配置を徹底してください。 5)盲ろう者に対し、係官との意思疎通を円滑にはかるため、投票所内に同行している通訳・介助者が入れるようにしてください。

 

 

(3)投票方法など

1)投票制度は、投票所に行って自筆で書くことが原則になっていますが、このことが困難な場合、郵便投票・代理投票があることを周知徹底させてください。 2)郵便投票は、介護保険「要介護5」、障害者手帳の両下肢・体幹・移動機能障害の1級・2級、心臓などの内部障害1級または3級など対象が限定されていますが、希望するすべての障害者を対象にするとともに、その手続きの簡素化をすすめてください。 3)2003年の公職選挙法改正において、郵便投票での家族代筆が認められましたが、それだけでなく「巡回投票」の必要性についても附帯決議されました。早急に具体化するよう検討してください。 4)代理投票は、「代筆役」と「見守る役」の2名を補助者として選挙管理委員会の職員に限定していますが、その際の不正防止とプライバシーへの配慮を徹底してください。

 

(4)選挙と福祉・医療の連携

1)投票所への移動にあたって、いわゆる「政治的活動」としてガイドヘルパー等の福祉サービスが利用できない現状を改めてください。また、同行援護制度におけるガイドヘルパーは投票所の入口までしか行くことができません。投票所内における係員が適切な誘導や配慮できるよう研修を徹底してください。 2)病院・高齢者施設・障害者施設など、入院・入所している人の投票については、「概ね50人以上」の指定基準を緩和して、希望する医療・福祉施設が「不在者投票施設」(指定病院等)に指定されるようにしてください。

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