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22年3月25日更新

優生保護法訴訟東京高裁判決に対する声明と上告後の代表談話

○JDは、3月11日の優生保護法訴訟東京高裁判決を受けて、3月14日、声明「政府は東京高裁判決を上告するな!大阪高裁判決の上告を取り下げ、優生保護法被害の全面解決を」を公表しました。
しかし、政府は3月24日に上告したため、上告後の代表談話を出しました。

優生保護法訴訟東京高裁判決に対する声明【PDF版はこちらから】
上告後の代表談話【PDF版はこちらから】

2022年3月14日

優生保護法訴訟東京高裁判決に対する声明
政府は東京高裁判決を上告するな!
大阪高裁判決の上告を取り下げ、優生保護法被害の全面解決を



認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井 克 徳



 3月11日、優生保護法訴訟東京高裁判決は、大阪高裁判決に続き、優生保護法による優生手術(強制不妊手術)は、差別的思想に基づく非人道的な行為だと断じました。そして、東京高裁平田豊裁判長は、優生手術は、憲法13条、14条違反であり、その被害の深刻さを認め、除斥期間の適用を制限しました。憲法違反の法律によって生じた被害の救済を憲法よりも下位の民法724条を適用することは誤りだとしたのです。また、国は優生保護法改正後、被害を受けた人たちに対し、被害を受けたことを知らせる措置もとっていなかったと指摘しました。一時金支給法の成立時(2019年4月24日)を起算点とし、除斥期間はそこから5年経過するまで適用されないとし、賠償額は1500万円としました。大阪高裁判決よりもさらに踏み込んだ判決でした。原告らが受けた被害の深刻さを受け止め、誤った法律が差別を広げ、人間の尊厳を深く傷つけたことを認めたのです。

 被告である政府は、①東京高裁判決への上告をしないこと、②大阪高裁判決への上告を取り下げること、速やかにこの2つを決断することを求めます。

 原告の北三郎さんは裁判後の集会で「手術から64年が経過し、辛かった。悲しかった。苦しかった。本当に長い道のりでした。このような判決がもらえる日が来るなんて感無量です。原告たちは高齢ですでに4人が亡くなっています。1日も早く全面解決を」と語りました。

 国の誤りを司法が明確に認めたことを重く受け止め、高齢である被害者は、引き継ぐべき子をもたない人たちであり、一刻も早い2つの政治的決断をすべきです。東京高裁判決の上告をせず、大阪高裁判決上告を取り下げ、いまこそ全面解決を図るべきです。 国は被害を受けたすべての人たちに心から謝罪し、一時金支給法見直しを早急に進め、真の検証と総括を含む優生保護法被害の全面解決を図ってください。



 

2022年3月25日

代表談話
優生保護裁判・東京高裁判決上告に抗議します



認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井 克 徳



 政府は、大阪高裁判決に続き、東京高裁判決を受け入れず、上告しました。東京高裁判決では、優生手術は、憲法13条、14条に違反する非人道的な行為であり、その被害は深刻であり、民法724条の除斥期間を適用するのは誤りであるとしました。

 この東京高裁判決を受け入れない政府の姿勢は、人権侵害の上塗りであり、これまでの優生政策への反省のかけらもありません。大きな失望と怒りを覚えます。東京高裁判決に対する上告に強く抗議します。

 政府は、ただちに先般の大阪高裁判決に対する上告と合わせて東京高裁判決に対する上告を取り下げるべきです。政府がいま力を注ぐべきは、国会と力を合わせ、優生政策に関する国の責任の明確化とすべての被害者への謝罪、さらには被害者の人権と尊厳の回復を中核とする全面解決に向かうことです。それは、一時金支給法の延長線上に見いだせるものではなく、新たな法律でなければ成し得ません。こうした全面解決の前提として、国(国会ならびに政府)において歴史に恥じない検証と総括が求められます。

 高齢にある原告の北三郎さん(仮名)は、今回の政府の上告の報に大きな衝撃を受けたとされています。加えて多くの歳月と体力や気力を要する最高裁に向かうのは過酷以外の何ものでもなく、政府は、人権や人道を侵すものであることに気付かなければなりません。重ねて述べますが、今回の政府の上告に強く抗議し、即時の取り下げを求めます。同時に、三権分立を踏まえたうえで、国会として座してみることなく、与野党を超えて取り下げに関する何らかの行動をとってください。

 最後に、メディアを含む多くの市民のみなさんに訴えます。優生保護法問題に関心を持っていただくとともに、喫緊の課題である、取り下げに協力いただくことを切にお願いします。

       

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