22年3月15日更新
○JDは2022年2月25日、「優生保護法訴訟大阪高裁判決に対する声明」を公表し、「優生保護法裁判・大阪高裁判決に関する上告断念の要請」とともに、内閣総理大臣・法務大臣・厚生労働大臣宛に提出しました。
しかし、政府は3月7日に上告したため、上告に対する声明を出しました。
優生保護法訴訟大阪高裁判決に対する声明【PDF版はこちらから】
優生保護法裁判・大阪高裁判決に関する上告断念の要請【PDF版はこちらから】
優生保護法裁判・大阪高裁判決の上告に対する声明【PDF版はこちらから】
2022年2月25日
優生保護法訴訟大阪高裁判決に対する声明
特定非営利活動法人 日本障害者協議会(JD)
代 表 藤 井 克 徳
2月22日の優生保護法訴訟大阪高裁判決では、原告側の主張が認められ、国に対し、賠償命令が下されました。優生保護法による被害は消えないけれど、やっと声が届いた、思いが通じた、と全国から喜びの声が響き渡っています。
今もっとも重要なことは、被告である国が最高裁への上告を断念し、大阪高裁判決を確定することです。全国の原告や優生保護法被害者は高齢にあり、無念の中で亡くなられた方は少なくありません。原告らのいのちを賭けた司法への訴えを正面から受け止め、すべての優生保護法の被害者に対して、謝罪と十分な賠償、そして尊厳の回復を迅速に行うことが国の責務です。
太田晃詳(てるよし)裁判長は、長年にわたる優生保護法による強制不妊手術は、子どもを産み育てるかどうかを決める自由を奪い、強度の人権侵害であり、国が障害者への差別・偏見を助長してきたと断じ、日本国憲法13条、14条違反であることを認めました。さらに、優生保護法の立法を行った国会議員には過失があったこと、優生保護法の被害について除斥期間(被害を受けてから20年で国に対し被害を訴える権利が消失する)をそのまま適用することは、著しく正義・公平の理念に反する、としたのです。
これまでの、各地の地裁判決では除斥期間という大きな壁が立ちはだかり、原告らの訴えが退けられてきました。大阪高裁でやっと原告らの声が届き、司法が真正面から優生保護法被害を認めたのです。賠償額は、手術を受けた本人は1300万円、配偶者は200万円相当としました。2019年に制定された一時金支給法では、手術された本人のみに対する一律320万円の支給でした。優生保護法による被害がいかに低く見積もられたかも明らかになりました。
この判決は、大阪の原告だけではなく、全国の優生保護法被害裁判で闘っている原告や支援者にも大きな勇気を与えました。まさに待ちに待った判決でした。次に控える3月11日の東京高裁判決にも大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
日本障害者協議会(JD)は、これからもこの裁判を応援し、優生保護法被害者の人権の復権に力を注ぎ、社会に広がる優生思想と対峙し、「すべての人の社会」の実現を目指します。
2022年2月25日
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
法務大臣 古川 禎久 様
厚生労働大臣 後藤 茂之 様
優生保護法裁判・大阪高裁判決に関する上告断念の要請
2月22日の優生保護法裁判・大阪高裁の判決は、私たちの期待を反映するものでした。政府におかれましては、自らの非を認め、何より高齢にある原告をこれ以上苦しめないために、大阪高裁の判決を全面的に受け入れてください。
最高裁判所に上告されませんよう、強く要請いたします。
NPO法人日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
〒162-0052東京都新宿区戸山1-22-1
Eメールoffice@jdnet.gr.jp
TEL.03-5287-2346 FAX.03-5287-2347
2022年3月7日
優生保護法裁判・大阪高裁判決の上告に対する声明
認定NPO法人日本障害者協議会
代 表 藤 井 克 徳
政府は、優生保護法による被害にあった人々の必死の訴えをまたもや踏みにじり、大阪高裁判決を受け入れず、上告しました。
上告は、優生保護法被害者への人権侵害の上塗りのみならず、政府の優生政策への基本姿勢に変わりのないことを表すものです。強く抗議するとともに、すべての原告と被害者、弁護団や関係団体と連帯し、関連する裁判運動を引き続き支援することを表明します。
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