障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

21年10月16日更新

新型コロナウイルス感染対策に関する要望書

○JDは2021年10月14日、「新型コロナウイルス感染対策に関する要望書」を公表し、厚生労働大臣宛に提出かつ回答を求めました。
 【PDF版はこちらから】

2021(令和3)年10月14日
厚生労働大臣 後藤 茂之 様

特定非営利活動法人 日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井  克 徳



新型コロナウイルス感染対策に関する要望書



 岸田新政権が誕生し、所信表明演説で「コロナとの共生を前提とした新しい社会を創り上げる時だ」と述べられました。新たな創造は極めて重要です。そのためにもこの間の検証・総括が重要ではないでしょうか。

 感染が抑えられているこの時期だからこそ、新型コロナの感染拡大の中で、障害のある人たちがどのような状況にあり、どのような困難を抱えていたのか、国の責任で明らかにする必要があると考えます。

 つきましては、以下の4点に関してのご回答をお願いいたします。すぐに結論の出ない問題もあると思いますので、その場合は、市民社会の意見を聴き、共に対策を考える懇談の機会を求めます。

1.精神科病院でのクラスターについて
1)実態の把握について
 精神科病院におけるクラスターの発生状況(死亡者数などを含め)、閉鎖的な状況の中でどのような処遇が行われていたのか、なぜ感染症専門病院への転院が進まなかったのか、国の責任で調査し、その実態を明らかにしてください。

2)今後の対策について
 実態把握と並行して、今後また、感染拡大が起こった際に、閉鎖的処遇が一般的になっている精神科病院においてクラスターを発生させないための対策について明らかにしてください。

3)精神科病院の抜本的改革について
 精神科病院で頻発したクラスターは、閉鎖的な環境、一般病院より少ない職員配置などが背景にあると考えられ、正に精神科病院の抱える構造的な問題です。遅れている日本の精神科病院の改革を早急に抜本的に実施する必要があります。精神科病院の改革を、どのような進め方で、いつまでに実行するのかを明示して下さい。

2.新型コロナ感染の治療体制と予防について
1)これまでの総括と今後の対策
 2020年~2021年にかけて、国や自治体の障害のある人への新型コロナ感染対策で何が不足していたと考えられているのか、これから重点的に取り組むことは何か、現在の方針・計画を教えてください。

2)PCR検査の継続及び拡大について
 本年は、障害福祉事業所の職員、新規利用者へのPCR検査が実施されるようになりました。感染の有無を定期的に検査できる仕組みとして重要な施策ですが、その対象に障害のある人は含まれていません。 PCR検査の継続と対象拡大について、どのように検討されているのか、拡大の時期なども明らかにしてください。

3)感染しても安心して治療・療養できる仕組みの構築について
 在宅で治療を受けられずに亡くなる方のことが報道されていました。医療がひっ迫すると治療の優先順位がつけられ、障害のある人や高齢の人は必要な感染症治療が受けられない実態があります。保健所の体制整備、感染症病棟の整備等、いつまでに実施する予定になっているのか、具体的に明示してください。

3.感染者の後遺症(神経免疫系疾患の発症)への喫緊の取り組みについて
 米国等では、新型コロナ感染後に、筋痛性脳脊髄炎など神経免疫系の疾患の発症に関する調査研究が進んでいます。一方、日本では何の対応も行われていません。患者団体による調査では、感染後の深刻な状況が報告されています。感染者の神経免疫系の後遺症の調査、並びに治療についての調査研究についてどのように考えているのか、調査の時期や内容等、詳細を明らかにしてください。

4.障害福祉事業所の報酬支払い方式の見直し
 新型コロナの感染拡大の中で明らかになったのは、報酬の日額払いの仕組みによって障害福祉事業所の運営が不安定に陥る現状です。ワクチン接種の副反応のため1週間も休まざるを得ないような状況もあります。不安定な運営の下、感染防止のため、障害のある人を守るため、事業所は様々な自助努力をしており、職員の負担は重くなる一方です。この状況を打開するには、日額払いの仕組みの見直しが必要です。現在急ピッチで進められている障害者総合支援法の見直しの中にこの問題を含めるべきだと思います。時限的には通常報酬を保障するなどの対策が必要です。障害福祉事業所への保障など、今後の取り組みについて教えてください。

                     

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