障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

15年1月26日更新

「雇用に関する差別禁止の事業者指針」に対するJD意見

○JDは1月24日、 「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に
対処するための指針等に関する意見」に対する意見をパブリックコメント(パブコメ)として厚生労働省
職業安定局へ送りました。

【PDF版はこちら】


パブリックコメント送信内容



                                                      2015年1月24日



                                                  特定非営利活動法人
                                                  日本障害者協議会(JD)




 障害者雇用促進法の改正によって、障害を理由にした差別の禁止規定が盛り込まれたことを評価し、
障害者権利条約(以下、権利条約)を実質的に実現していく観点から以下に意見を述べる。

1.障害者の定義
 障害者基本法の障害者の定義を基本とすべきである。現実には障害者手帳を所持していない人も
多くおり、障害のために他の市民と同等の生活を営むことが困難なすべての人を含むべきである。
 また、過去に疾病・障害があったことを理由に、募集・採用、その後の段階で、他の労働者と異なる
取り扱いをすることは差別であることを明記すべきである。

2.合理的配慮の「過重な負担」
 合理的配慮を行わないことは差別であると権利条約で定められており、「過重な負担」は経営状況に
客観的な見地から明らかな支障をきたす場合のみの例外ととらえ、その説明責任は事業者側にある
ことを明記すべきである。

3.合理的配慮の手続き
 合理的配慮を求める時に障害者からの申出によって話し合いが始まり、内容が確定されていくとある
が、本人の申出が困難な場合には本人が選択した第三者の申出も可能とすること。また、合理的配慮
の内容について、話し合いの結果、合意を得て実施することを明記すべきである。

4.合理的配慮の具体例について
 合理的配慮の中に「手話通訳」を明記すべきである。権利条約は手話を言語と定めており、募集および
採用時において、また、採用後においても手話は必要である。
 肢体不自由者の場合は、合理的配慮の中に、「介助者」も加えられるべきで、その概念は広いもので
あることを明記すべきである。

5.相談体制について
 相談担当者は、障害問題を権利擁護の視点で理解している者が行い、障害者の側に立って問題を
解決する姿勢が必要であることも明記すべきである。

6.他の労働者等への意識啓発について
 合理的配慮等により環境が整備されれば、多くの障害者は他の労働者と同等に働く能力を発揮できる
ことを、事業主は日頃の言動や事業所内外のツールを用いて意識啓発していく責任があることを明記
すべきである。


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