障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

14年12月25日更新

「精神科病棟転換型居住系施設」に対するJD意見

○JDは12月16日、 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく
指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(案)
に対する意見をパブリックコメント(パブコメ)として厚生労働省社会・援護局へ送りました。
 


パブリックコメント送信内容



                                                      2014年12月16日



                                                  特定非営利活動法人
                                                  日本障害者協議会(JD)




 日本障害者協議会では,精神科病院における長期入院の問題は,放置できない社会問題であると
考えてきた.これらの問題を解決するためには,障害のある人への介助や支援を家族に依存する
支援体制を改め,地域社会の中での支援拠点の整備,さまざまな住まいの場,必要な人的支援の
確保こそが必要である.
 しかし,今回の省令(案)にある病院敷地内にグループホームを設置するための経過的特例措置
については,長期にわたって精神科病院にいる人たちの地域生活の実現をさらに遠ざけるもので
あり,この省令変更は行うべきではない.

   その理由は以下の通りである.
1)利用者の自由意志に基づく選択であるとしているが,病院敷地内グループホームの設置場所は
グループホームが不足しているところとされており,現状では選択肢が用意されない中での選択と
なるからである.
2)グループホームが不足している地域で病院敷地内グループホームが増えることで,ますます地域
のグループホーム設置が困難になることが予測される.
3)利用期間を原則2年以内としているが,やむを得ない場合には更新可能としており,曖昧である.
4)「3 運営上の条件」の記述11に、「本サービスを利用中も引き続き地域生活への移行に向けた
支援を実施」とあり,厚労省自らが病院敷地内グループホームは,地域生活ではないと認めており,
地域生活ではないと国が認めるグループホームの設置は行うべきではない.
5)本省令案では,精神病床削減を謳っているが,この案では病床削減が進むのか不透明・不明確
であり,本来改革すべき点に何ら踏み込めていない.

 病床削減を前提に障害者権利条約に基づく精神障害者の権利擁護の観点を踏まえた条件整備と
されているが,以上の点を踏まえると,自ら選択して暮らす場所や誰と暮らすかを権利として認めて
いるとは言い難く,障害者権利条約違反であることは明白である.
 精神科病院への長期入院という社会的問題を解決するためには,本省令改正ではなく,グループ
ホームの設置や長期入院者がさまざまな支援を受けつつ地域生活を送ることができる支援体制を
国と自治体が責任をもって緊急に推進することが必要である.

                                                             以上


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