障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

13年9月3日更新

障害者基本計画(案)に対するJD意見

○JDでは障害者基本計画(案)に対する意見をパブリックコメント(パブコメ)として内閣府へ送りました。
 パブコメには1,000字以内の決まりがありますので、字数制限のない詳細版を別途まとめました。

○以下は、パブコメの導入文ですが、これを入れると1,000字を超えるので、送信していません。

  今回の「案」は前期計画と比べて、内容面での差別禁止の強調、難病のある人への支援の具体化、
 策定過程面での当事者参加の一歩前進など、評価すべき点もあります。しかし、障害者基本法、障害
 者権利条約、「総合福祉部会」の「骨格提言」、自立支援法訴訟団との「基本合意」などの基準に照らす
 と多くの要改善点があります。


 【PDF版はこちら】

 パブリックコメント送信内容(1,000字以内版)



                                                      2013年9月3日



                                                  特定非営利活動法人
                                                  日本障害者協議会(JD)




1 政策・計画決定への障害当事者参加の保障
 「政策・計画決定への障害当事者の参加」を独立した項目とし、「知的障害者、精神障害者、発達障害者、
失語症者、高次脳機能障害者等を含めた障害者が、国及び地方の審議会等に参加し、平等に意見を表明
し貢献できるよう適切な情報保障その他の配慮の在り方を検討し、開発し、普及する。」とすべき。また、障害
者施策に関する国・地方の審議体においては当事者・家族を構成員の過半数とするなど数値目標を示すべき。

2 データの収集と活用
 「案」は197項目の分野別施策、総論部分と推進体制、46項目の数値目標からなる。計画の実施を監視する
には、この全てについて、予算やサービスだけでなく、生活実態の変化、障害のない市民との格差、その性・
年齢・障害・地域別データが必要。
 そのために「生活のしづらさ調査」の活用、施設・病院の障害者調査の方針を含むデータ収集計画が必要
です。また2013年度の現状を質的・量的に確認する資料の作成や、46項目の数値目標の根拠資料の整理も
必要とされる。

3 生活支援分野の補強
 相談支援事業の設置基準を定め、事業所から独立して相談支援ができる人的・専門的・財政的体制を構築
すべき。グループホームの開設や職員確保が可能となる居住施策にするとともにアパート等でも家賃補助が
必要。
 障害児支援の分野は成人障害者以上に資源未整備と地域格差が深刻で、障害児相談支援の充実、地域
療育の拠点となる児童発達支援センターや「障害児療育施設」の機能の充実と計画的な配置が必要とされる。

4 保健・医療分野の補強
 精神科特例の廃止、医療保護入院の家族の同意の削除、地域支援機関やピアサポーターが精神科病院に
関与できる仕組み、精神病床の削減計画、精神医療審査会への当事者・家族の参加が必要。また、乳幼児の
障害の早期発見後の「親子教室」等の施策化が望まれる。

5 教育の財政措置
 特別支援学校の教室不足等の深刻な事態が進んでいる。全ての学校のバリアフリー化を含む環境整備の
数値目標と財源措置が必要。

6 雇用・就業分野の補強
 多様な就労の場の実態の把握・検証、通勤支援と職場内介護、就労移行支援事業における継続・定着支援
の延長、等が必要。

7 成年後見制度の見直しを含めた検討

8 「障害の表記」の継続的な検討


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 【PDF版はこちら】

 障害者基本計画(案)へのJD意見(詳細版)



                                                  特定非営利活動法人
                                                  日本障害者協議会(JD)



 本協議会は、障害者基本法や障害者権利条約が目指す共生社会の実現に向けて運動を進めています。
 今回の政府の「障害者基本計画案」は前期(第二期)計画と比べて、内容面での差別禁止の強調、難病の
ある人への支援の具体化、策定過程面での当事者参加の一歩前進など、評価すべき点もあります。しかし、
障害者基本法、障害者権利条約、「総合福祉部会」の「骨格提言」、自立支援法訴訟団との「基本合意」などの
基準に照らすと次のような多くの要改善点があります。
 本協議会はすでに「新しい『障害者基本計画』案へのJD意見」を提出していますが、字数に制限があったため
別途、本「詳細版」で詳しく解説するものです。

1 政策・計画決定への障害当事者の参加の保障
 8月9日の障害者政策委員会での土本委員の提起は大変重いものでした。内容がよくわからないまま3時間
座らされていることは差別・虐待ではないか、というものでした。
 第二次障害者基本計画では、Ⅲ-2-(2)-①-ウ「障害者団体や本人活動の支援」の項で「知的障害者本
人や精神障害者本人の意見が適切に示され、検討されるよう支援を強化する。特に、様々なレベルの行政施策
に当事者の意見が十分反映されるようにするため、当事者による会議、当事者による政策決定プロセスへの関
与等を支援することを検討する。(後略)」とされていました。この検討のために内閣府は地方自治体の障害者施
策推進協議会などへの当事者参加の実態を障害の種類別に分類して毎年調査・公表してきたものと思います。
 第三次計画ではより具体的な検討とその成果の普及が求められます。共用品推進機構が開発したJIS S 0042
「高齢者・障害者配慮設計指針-アクセシブルミーティング」も参考に、地方自治体での委員会の配慮・工夫の
経験や諸外国の経験などを含めた検討が必要とされます。2011年に改正された障害者基本法第33条では、障害
者政策委員会の構成を「様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることと
なるよう、配慮されなければならない。」とし、地方に設けられる委員会についても第36条で同様に規定しています。
この規定に基づく取り組みが差別ではないかと言われるようなことは、絶対にあってはなりません。
 具体的には、8月9日の原案のⅡ-3「各分野に共通する横断的視点」の(1)を二つに分け、「政策・計画決定
への障害当事者の参加」を独立した項目とすべきです。その中には、
「知的障害者、精神障害者、発達障害者、失語症者、高次脳機能障害者などを含めた障害者が、国及び地方の
審議会等に参加し、平等に意見を表明し貢献できるよう適切な情報保障その他の配慮の在り方を検討し、開発し、
普及する。」を記述してください。
 また、障害者施策に関する国・地方の審議体においては当事者・家族を構成員の過半数とするなど数値目標を
示すべきです。

2 データの収集と活用
<生活のしづらさ調査の活用>
 「案」では、障害者基本計画の実施状況とその(障害者の生活実態に見られる)効果を把握・評価することや
PDCAサイクルの採用が書き込まれています。
 しかし「平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」についての言及があ
りません。次回調査は5年後の平成28(2016)年と見込まれます。これは第三次計画(2013-2017)の最終年の前
年です。2016年に次回調査、これを踏まえて2017年に第四次計画の策定、翌2018年からの実施、というスケ
ジュールが合理的です。
 今回の生活のしづらさ調査は我が国で初めて、すべての障害者を対象としたものであり、不備な面があれば
それを改善しつつ次回の準備をし、次回こそは第四次計画の基礎とすべきと思います。
 あるいはこの調査は福祉行政目的であるとすれば、別の省庁による障害者基本計画のための調査が検討さ
れるべきかもしれません。いずれにせよ、施策の効果測定のための生活実態調査の在り方について、基本計画
は具体的にふれるべきであると思われます。
 また、「生活のしづらさ」調査の対象外となっている「施設・病院の障害者」について、これらの人々がこの計画
での最も重要な人々であることから、その実態とニーズをどう把握するのか、記述されるべきと思われます。

<監視機能を遂行するために必要な措置>
 障害者政策委員会は、障害者基本法に基づいて、基本計画の実施状況の監視と必要に応じての勧告を役割
としています。これは「できる」規定ではなく、「する」規定(義務)です。
 障害者政策委員会は5年後、本計画案(分野別197項目に加えて総論部分と推進体制の数十項目)の実施状
況をどう監視できるでしょうか。計画案の末尾に掲げられている数値目標については、データ・情報の収集のめ
どが立っているものと思われます。しかしそれ以外の項目や総論部分は何を基準に、どんな情報で評価するか
不明です。そもそも数値目標が掲げられた一部の項目の数値がどんな根拠で出されたかの説明もありません
(障害者政策委員会の質疑でのいくつかの口頭説明以外は)。その目標数値の根拠が不明のままで適切な監
視はできません。これらの根拠は公表されるべきです。数値目標を示しにくい分野項目もあります。しかし計画で
あるので、達成度の評価は必要です。
 総論・各論含めすべての項目について障害者政策委員会が適切に監視ができるよう、適切な情報(量的及び
質的。2012年度末の状況とその後の経年変化)が提供される必要があります。その際、予算やサービスだけで
なく、生活実態の変化、障害のない市民との格差、その性・年齢・障害・地域別データが必要です。これらの情報
の多くは、各省庁の行政システムを通じての収集となるので、各省庁が障害者政策委員会に協力する責務があ
ることをより明確な表現で記述する必要があります。
 さらに、基本計画に記述すべきことではありませんが、障害者政策委員会委員は総論や推進体制の部分の記
述も197項目の各論施策も、(現場体験の認識は持っていても)、全国的な現状把握はできていません(正確な情
報がないため)。数値目標のない項目も含めて政府の担当者と障害者政策委員会委員とがデータに基づく現状
把握の共通理解を持つ必要があります。
 推進体制の部分では、政府・各省庁の国民への「説明責任」、とりわけ法律によって監視責任を負わされた障害
者政策委員会への適切な情報提供の責務を明確にしていただきたいと思います。

3 生活支援分野の補強
<相談支援体制の構築>
 ① 相談支援体制の構築は重要ですが、各地域によって相談支援体制に大きな格差があります。また、障害者
生活支援センターなどの相談支援機関には様々な役割が求められていますが、人的配置は不十分です。難病
相談・支援センターについては各県1か所の配置で、相談員の配置も少なく、身分保障も不十分です。
 相談支援体制の拡充のためには国としての設置基準を定め、財政的な責任も担い、専門職が配置できるような
体制を構築すべきです。
 サービス利用計画については、自立支援給付(出来高払いの仕組み)を見直すべきです。事業所が市町村から
指定特定相談支援事業の指定を受ければ、すでに事業所の利用者となっている障害のある人の計画相談を行う
ことができます。障害のある人は相談支援事業所を選択できるとされていますが、実際には選択できる状況では
ありません。事業所の抱え込みが行われたり、障害のある人の選択ではなく、事業所にとって都合の良い障害の
ある人を選択していくというような問題も起こってきています。
 こうした問題を解消するには、事業所からの独立性を担保した相談支援機関を充実させていく必要があります。
 ② 相談支援体制を構築しても、絶対的な社会資源不足であることが各地の現状です。相談支援から明確になっ
てくる社会資源拡充の課題については、国と自治体が財政的な責任をもって、課題解決にあたるべきです。

<在宅サービス等の充実>
 ① 在宅サービスとしてメニュー化されていても、実際にはニーズに対応できない状況が起こっています。こうした
実態がなぜ起こっているのかについて把握し、その実態に基づいた計画が必要とされています。
 ② グループホーム等の充実とありますが、グループホームの開設や職員確保には設置する法人の負担が大き
いのでなかなか進みません。どこで誰と暮らすかを選択できる環境を整えるためには、グループホームの充実の
ための具体的施策が必要です。
 また、暮らしの場を選択するためにはグループホームは1つの選択肢にすぎません。民間のアパートなどを借り
て暮らすことも選択の1つであり、そのためには、不動産業界、住宅所有者側への本計画の理解促進、利用者
本人への家賃補助なども併せた制度化を検討すべきです。

<障害児支援の充実>
 ① 冒頭1-(3)-1 に、まだ詳細が明らかとなっていない「子ども・子育て支援法に基づく給付」等が記載され
ることは「基本計画」として具体性に欠け、ふさわしくありません。「同法に基づく教育・保育等を利用できるように
するために必要な支援」は障害児支援の中核施策とは言えないので、置くとしても最後の項目にすることが適切
です。
 ② 社会資源未整備のために、療育の内容と質に大きな地域格差があり、長時間かけて通園するという現実も
あります。障害者基本法に「療育」が新設されたことを根拠に、1-(3)-1としてはまず、児童発達支援センター
(医療型を含む)を地域に配置する計画を明示すべきです。
 ③ 障害児通所支援においては、児童相談所の関与がなくなり、公的機関による子どもと保護者の把握の機会が
困難になりました。保護者への支援を含む高い専門性が求められる時期であるからこそ、市町村による相談支援の
仕組みが整備される必要があります。
 ④ 1-(3)-4の位置付けも重要です。しかし、平成24年4月に改正されたばかりの制度施策であるので、まず
はこれらの施策の検証作業を行うことを計画に盛り込む必要があります。
 ⑤「障害児療育施設」は、少なくとも計画期間内に障害のある子どもが生活し専門的療育を受けるにふさわしい
施設設備と心理職やソーシャルワーカー、さらには不足している医師などの医療スタッフの職員配置の改善を行う
ことを明記すべきです。(1-(3)-6)
  特に、旧肢体不自由児施設を中心とした「医療型障害児療育施設」では、有期限入所支援機能を中核としつつ
在宅の重症心身障害児や肢体不自由児への外来・訪問診療、短期入所、母子入園、NICUから在宅への中間
施設機能、児童発達支援センター等への技術支援など多様な役割を果たしており、こうした重度障害児の地域
医療センターとしての位置付けの明確化と(人口エリアを定めた)計画的な配置を進める必要があります。

<サービスの質の向上>
 地方自治体の障害福祉計画の策定の際に、国の定めた数値目標等は各地域の特性を反映した計画づくりの
障害になっています。また、数値目標の人日分の表記も実態を見えづらくしています。
 国の定めたものは最低基準として位置付け、自治体の実態に応じた計画づくりが進められるようにすべきです。

4 保健・医療分野の補強
<精神保健・医療>
 ① 精神疾患患者への差別的取扱いである精神病床の人員配置を一般病床と同等以上に引き上げるべきです。
 ② 医療保護入院の際の権利擁護の仕組みを早急に検討すべきです。そして家族の同意については精神保健
福祉法の次回改正時に廃止することを明記すべきです。
 ③ 地域における障害者支援の従事者やピアサポーターが精神科病院に関与できるような仕組みをつくるべきです。
 ④ 社会的入院の解消と合わせ、精神病床を閉鎖していく計画策定を盛り込むべきです。
 ⑤ 精神医療審査会に当事者・家族を構成員とすることを義務付けるべきです。
 ⑥ 5大疾患となった精神疾患にふさわしい基本法(例えば、こころの健康対策基本法など)の法制化の検討を
進めるべきです。
 ⑦ 入院期間は短縮されてきていますが、退院後は家族が支え、必要な支援を受けられていない人が多い現状
です。こうした無支援状態の人の実態の把握と医療チームではない、保健や福祉の訪問チームを実現させていく
ことが必要です。

<障害の原因となる疾病等の予防・治療>
 障害の早期発見を早期療育につなぐときに、親子への手厚いケアが必要ですが、乳幼児健康診査から保健指
導の時期の法定事業は未整備です。実際に市町村で工夫して実施されている「親子教室」などの施策化が望ま
れます。「保健指導」一般ではなく、具体的な施策を提示すべきです。

5 教育の財政措置
 教育分野で、合理的配慮を行うことを含めた的確な指導が提供できるようにするために、「『多様な学びの場』
のそれぞれの充実を図る。」(3-(1)-3)とし、政府としての責任を明記したことは評価できます。
 しかしながら、近年の特別な教育を求める児童生徒の増加により、教室不足など著しく悪化している教育環境の
改善が求められます。同時に、「災害発生時における利用等の観点」(3-(2)-2)のみならず、共に学ぶための
前提として学校施設のバリアフリー化が必要です。そのために具体的な数値目標の設定とそれをなしえる財源
措置を明記すべきです。

6 雇用・就業分野の補強
 ① 多様な就労の場の実態を把握・検証し今後の就労支援の在り方を検討すべきです。
 ② 通勤の際の移動支援などを可能とすべきです。
 ③ 雇用された事業所で介護のためのヘルパーの派遣を可能にすべきです。
 ④ 就労移行支援事業所において、就職した人の支援を期限なしで行えるようにすべきです。
 ⑤ ダブルカウント制は障害のある人の人権侵害に当たるのではないか、との意見があるので、雇用率制度上
での重度障害者の雇用確保の在り方を、ダブルカウント制の廃止を含めて検討するべきです。
 ⑥ 労働年齢にある障害者の就職率、無業率を明らかにし、その実態に合わせた労働施策を検討するべきです。

7 成年後見制度の見直しを含めた検討
 このことについては「適切な利用の促進」とされるのみですが、「制度の見直しを含む検討」を取り入れるべきです。

8 障害の表記の継続的な検討
 昨年12月の障害者政策委員会の「意見」では、推進体制の中で、
  「法制上の「障害」の表記の在り方については、障害者権利条約における新しい障害の考え方を踏まえつつ、
今後の国民、特に障害当事者の意向を踏まえて検討する。」
とありました。
 「障がい者制度改革推進会議」の「障害者制度改革の推進のための第二次意見」(平成22(2010)年12月17日)では、
 「障害は様々な社会的障壁との相互作用によって生ずるものであるという障害者権利条約の考え方を念頭に
置きつつ、それぞれの表記に関する考え方を国民に広く紹介し、各界各層の議論を喚起するとともに、その動向
やそれぞれの表記の普及状況等を注視しながら、今後、更に推進会議においても検討を進め、意見集約を図っ
ていく必要がある。
 なお、表現の多様性を確保する観点から自治体等が「障碍」という表記を使いやすくするべきとの意見もあり、
「碍」を常用漢字に追加するよう提言することの適否について、併せて検討すべきである。」
としていました。
 一方、2011年の障害者基本法改正で、障害者の経験する生活上の制限は、(身体障害その他の)心身の機能
の障害および社会的障壁によって生み出されている、という障害理解が示されました。これは第二次大戦後の
日本の障害者施策史上の最大の障害(者)観の転換です。この認識を各国政府に求めた障害者権利条約がま
もなく批准されます。
 このような今日の時点こそ、環境の重要性を含めた「障害とは何か」を全国民が問い直す絶好の機会であり、
その国民的議論のきっかけを表記問題が生み出してくれます。現行のウ冠の障害でよいのか、ひらがなを使
った障がいがよいのか、石偏を使った障碍がよいのか、障害の意味・概念に関わる重要な問題として障害者
・自治体などが政府のイニシアチブに注目しています。
 本協議会はどの表記が最も適切かの立場を決めてはおらず、また、表記(呼び方)を変えることが決定的に
重要だとも考えてはいません。ただし、この表記の在り方の検討を継続すべきであること、障害の表記は障害
者権利条約と障害者基本法の障害概念を反映すべきであること、日本国民、特に障害者自身がどの表現を
好むか(自分がどう呼ばれたいか)の意向を尊重すべきであること、第三次障害者基本計画には(この基本
問題の一つである)表記問題の検討の継続の旗を降ろさずむしろ活発な議論を呼びかけるべきであること等
と考えます。そして少なくとも定期的な意向調査などすべきですが、さらに内閣府主催で全国数十か所での
表記問題市民公聴会などを行うことを期待します。
 なお、2010年の内閣府の意見募集では望ましい表記として「障害」と「障碍」がともに約4割でした。同年の推進
会議第二次意見にあるように、「碍」が常用漢字でないために使いにくい(特に公的機関である自治体などで)との
意見も強いので、平等な表記を保障した上で(障碍も自由に使えるようにした上で)の好まれる表記の動向を確認
するために「碍」の常用漢字化を検討すべきです。表現の自由の下での意向動向の把握を政府は的確に行うべき
だと思われます。

以上

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