障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

12年6月20日更新

抗議声明 障害者総合支援法の可決・成立に強く抗議する

 
 2012年6月20日、JDは標記声明を発表しました。



                                                      2012年6月20日



                                                  特定非営利活動法人
                                                  日本障害者協議会(JD)

                                                  代表 勝又 和夫


                          抗議声明
               障害者総合支援法の可決・成立に強く抗議する



 日本障害者協議会は、6月20日、障害者総合支援法が、参議院本会議で、十分な審議が行われないまま、
可決・成立されたことに強く抗議する。

 障害者自立支援法違憲訴訟団と国(厚労省)が交わした「基本合意」は、原告団の、障害者自立支援法は
憲法違反であるという提起を正面から受け止めたもので、障がい者制度改革推進会議の議論を通して、新
法をつくることを約束したものであった。

 基本合意の中で、国(厚労省)は、障害者自立支援法の制定について、「障害者の人間としての尊厳を深
く傷つけた」ことを認め、「心から反省の意」を表明した。基本合意を結び、和解したことは、政府自らが障害
者自立支援法を憲法違反に等しいものと認めたからに他ならない。

 制度改革推進会議・総合福祉部会は、この基本合意と障害者権利条約に基づいて議論がなされ、構成員
55名の総意によって骨格提言をまとめた。

 ところが今年2月に示された厚生労働省案には、骨格提言はほとんど反映されておらず、制度上においても、
応益負担のしくみが残されており、到底新法とは言いがたいもので、部会や与党の説明会で厳しい批判が浴
びせられた。しかし、与党案として閣議決定され、4月の衆議院では民自公の三党修正案として採択された。

 この情勢に対し、基本合意の完全実現をめざす会は、5次にわたる「緊急行動」をよびかけ、19日間で4,000名
を超える障害者や支援者が、国会前で徹底審議を訴えた。しかし、政府や国会は説明責任を全く果たさない
まま、6月19日、参議院厚生労働委員会は、法案趣旨説明・質疑・採決を異例のスピードで行い、本日の参議
院本会議で可決・成立させた。これは基本合意を破り、骨格提言を棚上げにするもので、憤りが心の奥底から
わいてくる。

 一方この間、200を超える地方議会が「骨格提言を尊重した総合的な法制度を求める」意見書を採択している。
また、今年4月、和歌山地裁は、人工呼吸器をつけたALS患者が訴えた24時間介護をほぼ認める介護保障を命
じる判決を出し、和歌山市はこれを受け入れた。このように地方自治体や司法が基本合意と骨格提言に沿った
対応をしている中、これらをないがしろにする法律を強行に成立させた政府と国会は社会からの孤立化を余儀
なくされるであろう。

 基本合意と骨格提言は、今なお、輝きを放ち、障害者権利条約批准に向けた制度改革は前進させていかねば
ならない。

 日本障害者協議会は、障害があろうとなかろうと、地域で、人間としての尊厳が守られた法制度確立のために、
「障害者を締め出す社会は弱くてもろい社会である」の考えのもと、インクルーシブ社会に向け、障害者施策の進
展が日本の社会保障のあり方を左右すると確信し、障害当事者・関係者・市民など、様々な立場と考え方を持つ、
より多くの人びとと連帯し、これからも運動を前進させていく決意である。


以上

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