障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

15年10月23日更新

2015年「すべての人の社会」10月号


2015年「すべての人の社会」10月号

VOL.35-7  通巻NO.424

巻頭言 点字記念日

NPO法人日本障害者協議会 理事 内田 邦子 



 11月1日は「日本点字制定記念日」です。点字は、19世紀はじめ、暗号を伝えるための軍事用文字としてシャルル・バルビエにより発明され、その後、フランスのルイ・ブライユによって、6つの点の組み合わせによる点字が考案されました。そして各国の言語にあわせた点字が世界に広がりました。

 日本に点字が紹介されたのは1887年、東京盲盲唖学校の教員の小西信八によってでした。その後、1890年11月1日、東京盲唖学校の石川倉次が考案した、かな文字の点字が、日本の点字として採用され、この日を記念日として現在に至っています。

 日本に点字が導入されてから115年。点字は、視覚障害者にとってどれほどの光明となったか計り知れません。以来、1922年「点字大阪毎日」創刊、25年には普通選挙法公布に伴い、点字投票が認められました。40年には、本間一夫氏によって点字図書館が創設され、63年には点字毎日「選挙のお知らせ」発行、73年司法試験の点字受験開始と続きます。

 こうした歴史の流れの中で、視覚障害者の社会参加の領域も広がり、最近では、飲料用缶・鉄道などの切符の販売機や料金表など多岐にわたって点字表示がつけられるようになりました。

 また、近年、パソコンの普及により、点字ソフトや点訳ソフトが開発され、それに対応して点字ディスプレイ・プリンターが開発され、瞬時で点訳も可能となりました。さらに、パソコンの読み上げソフトによってインターネットやメールも、電子図書館から点字図書のデータをダウンロードできるようになり、視覚障害者の情報環境は格段に充実したものとなったのです。

 社会的には、視覚障害者にとって豊かな情報社会となりつつありますが、一般の情報社会の中ではほんの一部分でしかありません。戸籍や住民票に何が書かれているかわかりませんし、行政から送られてくる郵便物も、殆どは内容がわかりません。選挙のお知らせに至っては、点字での発行は法律的に義務化されていません。

 近頃、中途失明の方の増加、点字使用者の減少などで、録音物があるから点字は不要ではという風潮があるようです。しかし、文章として正しく認識していくには、文字としての点字は欠かせません。

 確かに点字を保障していくためには費用や時間などいろいろ制限があるのは事実です。

 ここで考えられるのは、視覚障害者が参加する団体、集会などで点訳が必要な場合、申請による行政の保障です。そうすれば視覚障害者の就労にもつながっていくでしょうし、こうした個別のニーズが解決されることこそ、平等な社会への歩みにつながっていくのではないでしょうか。

2015年9月の活動記録


視点 今こそ「日本国憲法」を守る国へ 安保法制の成立に向き合って

                       増田 一世        


障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース49
11月10日(火)院内集会開催-基本合意と骨格提言を踏まえた総合支援法見直しのために
ポストサマースクールニュース-沖縄戦被害国家賠償訴訟
いのちが守られる社会に 安永健太さん死亡事件の真相を考える関東集会(仮称)を開催

連載「福祉のまちづくりの現在とこれから」

第8回   当事者参加による情報・コミュニケーション環境整備の必要性
~当事者参加による情報・コミュニケーション環境整備の必要性~                       中野 泰志        


フォーカス戦争と障害者ドイツ編
第1回 なぜドイツ訪問を思い立ったのか                       藤井 克徳        



連載 世界の当たり前を知る

第9回 ベルギーの精神医療改革から学ぶもの                       伊勢田 堯        


What's New!

「障害者の介護保険サービス利用等に関する実態調査」のねらい
~今求められる障害者権利条約具現化のための運動~                       山崎 光弘        


トピックス・インフォメーション・読書案内


女性差別撤廃条約(CEDAW)への国連ロビーイング活動を通して

                  藤原 久美子       



私の生き方 第30回 織田 友理子さん

                    織田 友理子       



エッセイ パラボラアンテナ〔151〕 

反戦と仲間へのおもい

                        花田 春兆       


障害者の就労支援について考えるフォーラムⅤ
~ILOなどの国際潮流と日本に問われているもの~

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