障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

12年4月17日更新

2012年「すべての人の社会」4月号


2012年「すべての人の社会」4月号

VOL.32-1 通巻NO.382

巻頭言 たった5行からのスタート

NPO法人日本障害者協議会理事
法政大学現代福祉学部教授 岩崎 晋也                 



 政府は2月に「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定した。
 JDとしては、その前提となった「社会保障・税一体改革成案」に対して、昨年9月に要望書を
提出した。その要望書では、まず改革の柱となる「社会保障改革の基本的考え方」で「制度が
出産・子育てを含めた生き方や働き方に中立的で選択できる社会」をめざすとしたことを高く
評価した。

 というのは、障害者の家族にとって現行の制度は決して「生き方や働き方に中立的で選択で
きる」ものではないからだ。わが国の障害者への社会的ケアの水準は、先進諸国の中でも特に
低い水準であり、OECD諸国の平均並みにするには現行の予算規模を2倍の2兆2千億円程度
にする必要がある。逆に言うと、こうした低い水準でも障害者が生活できるのは、無料の家族ケ
アに依存する割合が諸外国と比べ高いからに他ならない。現行の制度は障害者家族の「生き方
や働き方」を家族ケアに束縛する制度だと言えるのだ。こうした家族ケアへの依存体質を脱する
ことを「基本的考え方」とした点は高く評価しなければならない。こうした家族政策の転換こそ、保
守政党からの政権交代の果実であるべきなのだ。

 しかし改革のための具体的な施策となると、「成案」では、障害者施策はほとんど触れられてお
らず、わずかに「障害基礎年金への加算」が盛り込まれていただけであった。「成案」策定当時は
障がい者制度改革推進本部の検討中であったためとも言えるが、今回の「大綱」においても、「障
害者が地域社会で安心して暮らすための総合的な障害者施策の充実については、制度の谷間の
ない支援、障害者の地域移行・地域生活の支援等について検討し、平成24年通常国会に法案を
提出する。また、障害基礎年金への加算(再掲)に加え、障害者の就労を支援し、障害者の所得保
障や社会参加の充実を図る。」とたった5行書かれているだけである。総合福祉部会の提言がほと
んど反映されなかった障害者自立支援法の「改正」案や、それを実施する平成24年度の障害関係
予算案をみても、制度が家族ケアに依存せずに「中立的」なものに移行するための新たな施策は
ほとんどない。

 政権交代によって、障害者施策の大きな前進がもたらされるとの期待が高まったが、この間、そ
れがだんだんしぼみかけている。社会保障改革の全体像を示す「大綱」にたった5行書かれた中身
をこれ以上しぼませてはいけない。諦めずに、再びふくらませ、大きな実りを迎えるために、今後も
JDとして政府や国民に働きかけていきたい。

3月の活動記録

視点 肝心なのは社会全体とのねじれ回避公開中

         藤井 克徳           


JDのうごき

2012年4月、JDは特定非営利活動法人日本障害者協議会 となりました。

障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(22)


抗議声明

基本合意と和解条項に違反する国の暴挙に強く抗議する!
                          障害者自立支援法違憲訴訟           
         原告団・弁護団           



What's New!

制度改革に向けた各地のうごき



連載

難病をもつ人々と障害者制度改革 第11回 各論15
「制度の谷間」に放置される線維筋痛症患者たち          尾下 葉子           



難病をもつ人々と障害者制度改革 第11回 各論16
少数疾患「稀少がん」と「稀少難病」の共通の問題          松原 良昌           



新連載 ・ 障がい者制度改革

差別禁止や権利の視点こそ必要─差別禁止法制定に向けて─       太田 修平          



連 載

JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 37
日本障害者スポーツ協会


エッセイ パラボラアンテナ〔113〕 

黒船

   花田 春兆          


トピックス


 
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