08年9月2日更新
VOL.28-5 通巻NO.338
日本障害者協議会理事 増田 一世
1978年2月、大学卒業を目前に控えた私は、社団法人やどかりの里の研修生となるべく、埼玉県大宮市(現・さいたま市)にあるやどかりの里に大学の先輩を訪ねた。畑地が広がる中に数軒の民家があり、そのうちの1軒の小さな家がやどかりの里だった。
1970年、引き取り手がいないなどの理由で入院を余儀なくされている精神科病院の患者さんに働く場と住む場を提供することから始まったのがやどかりの里だ。しかし、当時は精神障害のある人は福祉の対象ではなく、公的な補助金等はゼロ、寄付を募り、資金を拠出し合い、細々と事業を起こし、活動を存続させてきた。
私がやどかりの里に飛び込んだのもそんな時代だった。私は爽風会(精神障害のある人の回復を目指すためのグループ活動)とやどかり出版の担当となり、ソーシャルワーカーとして、編集者として歩み始めた。以来30年余り、貧乏に強いのが強みだ。
精神衛生法から精神保健法へ、そして障害者自立支援法へ、制度の変化は、私たちの活動に大きな影響を及ぼしてきた。精神保健法に社会復帰施設が位置づき、やどかりの里はさいたま市内に活動を広げた。そして、自立支援法の下、新たな存続の危機に対峙している。
しかし、市内、県内、全国に手をつないでいこうとする仲間が広がり、精神障害のある人たちが街頭に立ち、自分たちの主張を伝え始めている。また、ある研修会で精神障害のある人たちが自分たちの回復のプロセスをまとめた際に、彼らは病を得た自分たちの人生はマイナスからの再スタートであったと教えてくれた。
先達たちがステップバイステップで積み上げてきた障害者施策だが、障害者自立支援法によって大きく後退した。だからこそ、マイナスをプラスに転ずる運動・活動が求められている。そのための知恵の出し合い、力の出し合い、そのためのつながりづくりに力を注ぎたい、今回日本障害者協議会の仲間に加えていただいた私の思いでもある。
日本障害者協議会常務理事 田中 徹二
日本病院・地域精神医学会理事 関口 明彦
長野大学教授 伊藤 英一
政策委員・JD調査ワーキンググループ 磯野 博
日本福祉大学 社会福祉学科長 教授 石川 満
花田 春兆
障害者本人が一緒に入っているのでは、単なる親睦団体で、障害者福祉の事業体として認可するわけには行かない。………呆れて聞きただす気にもなれなかった。
障害者など、単なる消費者にはなり得ても、生産者なり、ましてや運営当事者として参画しうる存在があろうなどとはつゆ思っていない。そうした認識が基盤にない限り、「障害者本人が同列に入っているものなど認められない」とするセリフなど生まれるはずもないのだ。
つまり、軽い客体としては認めても、重要性を持つ主体としては認める気など、さらさら無いのだ、としか思いようが無い。
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