障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

08年12月17日更新

厚労省と「産科医療補償制度」で意見交換

JD、厚労省と「産科医療補償制度」で意見交換を行う


 12月15日(月曜)、JDは来年1月1日に施行される産科医療補償制度の再検討を求め、厚生労働省医療政策局総務課と意見交換会を行った。

 厚生労働省からは、医療政策局総務課医療安全推進室吉田主査ら3名が対応し、JDからは藤井常務理事、太田企画委員長、市橋企画委員、熊谷事務局員が参加した。冒頭藤井常務理事は、「この制度が多くの人々に知らされないまま、また国会でも審議がなされないまま施行されるという異例の状況であり、制度の延期を求めたい」と述べた。

 これに対して吉田主査は「2年前から産科医療の崩壊状況を踏まえ、与党と政府が協議をした結果のものである。医療崩壊と言われる状況の中、国会で議論する余裕がないという認識の下、少しでも一日でも早く解決させるために、予算措置の形で行なった。運営機関は日本医療機能評価機構であるが、今後変わることもあり得る。5年後を目途に見直しを考えているが、その際は疾病等の対象範囲の拡大もあり得る」と説明した。藤井常務が「法的根拠は何か」とただしたが、「予算措置であるので、法的根拠はない。ただ公的施策である」と答えるのみであった。

 さらにJD側は、「国会を通さないという国民の議論を経ないで行なおうとしたことは大きな問題である。また、障害者権利条約では、障害の原因への対応というよりも、社会的不利益といった障害を社会モデルとして捉え、政策の必要性を訴えている。こうした動きに反し、補償を受け取れる者と受け取れない者と差別が生まれ、問題が生じる」と発言した。

 吉田主査は「統計では出産時の障害のうち40%を脳性マヒで占められており、母親が安心して出産できる環境を少しでも整えていく必要があるので、1月の施行に理解して欲しい。今後も話し合いはしていきたい」と語った。


(太田修平 記)

フッターメニュー