17年3月31日更新
障害者に関する報道改善をめざして
―国連セミナーによる勧告―
発行人 国際障害者年日本推進協議会
発行年月:1983年12月10日
B5判・18頁
◆全文をPDFで公開しています。
【障害者に関する報道改善をめざして
―国連セミナーによる勧告―】
◆テキスト版はこちらです。
【障害者に関する報道改善をめざして
―国連セミナーによる勧告―】
この冊子は、1982年に国連広報局が出版し、国際障害者年日本推進協議会(日本障害者協議会<JD>の前身)が翌1983年翻訳・刊行した「障害者に関する報道改善をめざして-国連セミナーによる勧告-」(Improving Communications about People with Disabilities)です。
その刊行から30年以上経ちました。今日の日本社会にとって、この冊子の内容は依然としてあるいは当時にも増して示唆深いと思われます。しかし、報道関係者にはその存在すらほとんど知られていないのではないでしょうか。そこでJDはこれを公開することにしました。障害者権利条約第8条(意識の向上)を報道・マスメディアとしてどう遵守・実行するかを議論する際の基礎資料として活用していただければ幸いです。
「ガイドライン5」(「廃人」、「犠牲者」など品位を傷つける言葉を使わない)は今日の報
道機関ではほぼ実行されていると思われます。なお、この頃はまだ「知的障害」という言
葉は使われていませんでした。
「ガイドライン4」(無能とか、特別な能力があるなどの固定観念を避ける)もかなり配慮がなされているように思われます。
しかし「ガイドライン7」はどうでしょうか。これは、ニュースなどで直接関係のある場合のみ障害者に関する事実を紹介すべきだというものです。直接の関係が不明の段階で「容疑者は精神科に通院している」などと報道されることは改めなければなりません。
「ガイドライン3」はどうでしょうか。これは、障害とは関係のない作品の中でも、一般の登場人物の中に障害者を含める提言です。ドラマの背景となる通行人の中にたまには白杖や車いすを利用する人を含めよう、居酒屋場面の背景に手話で歓談する客を描いてもよいではないか、という主旨です。
さらに「ガイドライン1」では、社会のあらゆる場面での障害者の姿を描こうと呼びかけています。この実行は、「障害者は不幸しか生まない」という相模原事件の容疑者とその賛同者の思想に対する報道機関のもっとも強力な反撃になるはずです。
これらを含めてこの冊子から教えられることは多いと思われます。
また、末尾(p18)に紹介されている障害者団体向けの勧告にあるように、この面での障害者団体の役割は大きく、「報道と障害」をモニターし改善するための国家的機関の設立も視野に入れ、関係者の議論が進められるよう期待するものです。
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