障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

20年6月24日更新

2020年「すべての人の社会」6月号

2020年「すべての人の社会」6月号

VOL.40-3 通巻NO.480

巻頭言 節目

NPO法人日本障害者協議会理事 太田 修平

 コロナ感染症がこれほどまでに拡大するとは夢にも思わなかった。昨年12月、中国武漢で発生、野戦病院のようなプレハブ病院を突貫工事で作っていた映像を見て「中国は大変な状況になっているなぁ」と少し他人事のように思っていた。ところが2月ぐらいになるとイタリアなどヨーロッパ各地で、そしてアメリカで、桁違いの感染者数と死亡者が出てしまった。3月後半になると日本でも感染者数が増えていき、「日本も3週間後にはアメリカのようになる」とささやかれていた。そして緊急事態宣言を出すに至った。

 4月以降は障害連(障害者の生活保障を要求する連絡会議)の事務所に出かけていない。1か月以上も行かないのは、初めてだ。それだけ怖い感染症なのだ。志村けんさんや岡江久美子さんも急に悪くなり亡くなった。緊張感が毎日続いていく。基礎疾患を持つ、そして介助を受けて生活をしなければならない障害者にとって不安はあまりにも大きすぎる。私は、地球を異星人が核攻撃し消滅させ、自分も死ぬという夢を見た。そのほか変な夢ばかり見る。
 1年、2年たてば元通りの生活が帰ってくるのだろうか? テレビや新聞を見ても否定的な物言いが多い。

 私は思春期から23歳ぐらいまで、いろいろな病気で寝込んだ。高熱で寝たきり状態になり、おむつをしていた時期が1か月ぐらい続いたことがあった。もう再起不能と思いながら毎日テレビを見ることが唯一の楽しみであった。そういうことが起きるたびに、母親や関係者から、成長の変わり目、節目だから、誰にでもあることと言われたものだ。実際、今はその時からは想像できないほど元気だ。もしかしたら、今は社会の変わり目、節目なのかもしれない。家にこもりきりはよくないが、テレワークは障害者にとって基本的には好都合である。社会の成長の一過程と捉えていきたい。 障害連の運動も半世紀近く。花田春兆さん(JD元顧問、故人)などを輩出した。世代交代を、試行錯誤で確かなものにすると同時に、当事者運動としての持ち味は今後もJDの中でも大切にしたい。

 話は変わるが、10年以上前から私の介助をしてくれていた人が、このほどステップアップすると聞いた。少し遠いところに行くので寂しい。その人といろいろと議論したことが思い出される。青い芝の会のことや"差別" について、意見を交わし、有意義で楽しい思い出となっている。その人が持つ知識と経験だったら、どこの場でも、大きな力を発揮できそうだ。

 社会やひとりの人間の歴史には「節目」が必要なのだろうか。そして次のフェーズに突き進むのである。

2020年5月の活動記録・講師派遣


障害のある人のいのち・健康・暮らし・社会保障を守り抜く!


精神障害のある人と家族、そして JD

増田 一世(日本障害者協議会常務理事・やどかりの里常務理事)




連載 優生思想に立ち向かう

第15回 津久井やまゆり園事件と"T4作戦"
川村 民枝(社会福祉法人きょうされん リサイクル洗びんセンター施設長)




新連載 VHO-net20年の歩み②つながっているからできること

各地の学習会に参加して思うこと-地域学習会の意義-
後藤 慶子(ファイザー株式会社 広報・社長室)




コロナ禍を乗り切る

子ども・保護者に真に寄り添える制度を放課後活動にも
村岡 真治(「放課後連・東京」会長)




コロナ禍を乗り切る

盲ろう者と新型コロナウイルス感染症 山下 正知(社会福祉法人全国盲ろう者協会常務理事・事務局長)




トピックス



JD40周年⑥

すべての人の社会をめざし、次の10年に向けての活動を
荒木 薫(JD事務局長)




連載エッセイ 障害・文化・よもやま話

第20回 「優生思想」に悩んだ障害者たち ―ハンセン病患者の詩―
荒井 裕樹(二松学舎大学准教授)




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