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●解説 語り部と案山子かかし 人類と動物を分けた決定的なものは<火>でした。 その火を絶やさないために、家々の囲炉裏は大切なものであ り、一家・一族の中心でもあったのです。 また、人々の集まる炉ばたは、あらゆる情報の集散の場所で もあったのです。で、炉の火を守る役についていた人、主に、 労働の第一線からは外れていて、あまり動かずにすむ老人や障 害者が、自然に一番情報に接する機会の多い人になって行った のは、十分に考えられましょう。 集められた情報を整理しての発信源として<語り部>が、自 然に誕生してきます。その役目を担ったのが、老人であり障害 者だったことは、無理無く考えられます。 お馴染のヒョットコも、火吹き男、炉の番人です。 出雲のオオクニヌシノミコトの国作りを助けたのが、スクナ ヒコという蛾の皮を衣にするほどに小さな神でしたが、この二 人を引き合わせた案山子かかしもクエビコの名を持つ神でした 。 一本足で歩けないこの神は、「足は行かねども、天が下のこ と、ことごとく知れり」と賛えられています。 語り部も案山子も、動かないことが良かったのです。 文学の発祥にこれらの人々の力を忘れることはできないでし ょう。 炉端は情報の集散場所 火吹き男、ひょっとこも 炉の番人。 歩けない神、案山子も 情報をたっぷり。[←←最初] [←前頁] [次頁→] [最後→→]
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