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●解説

   車イスの前身、いざり車がいつ頃から使われていたかはわか
  りませんが、葛飾北斎の北斎漫画に登場しています。
   上の図は、低くても二段になっていて腰掛けるかたちになっ
  ていますが、上のは一枚の板に木の車輪を付けただけのもので
  す。今と違って、長い棒や竿で地面を突いて進んでいるのは、
  車輪が小さかったからでしょう。
   乗っている人も、一人は物乞いかなにかで暮らしていると見
  えますし、一人は宗匠頭巾を被り着るものからしても、俳句の
  宗匠かなにか一応の教養と身分を備えていることが偲ばれます
  。操る棒も一本に二本と、対照的になっているようです。
   けれど、車のスピードとか運転技術にかけては、一本棒の方
  が遥かに優っていたのでないでしょうか。
   悠々とした伸びやかさと、したたかな強さ。そうした生活か
  ら来る性格の差まで、見事に描かれています。
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