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●解説

  琵琶法師の活躍

   五条橋の義経と弁慶、那須与一の扇の的、青葉の笛と敦盛の
  最後、巴御前や静御前のひたむきな愛、壇の浦の海に沈んで行
  った平家一門などなど、今でも日本人ならば、おそらく誰でも
  が知っていると思われる源氏と平家の、栄華と盛衰の壮大なド
  ラマ。勇壮な戦いとその間にちりばめられている美しい愛情の
  物語りの数々。
   それらの原典とも云うべき『平家物語』を、人々の間に広く
  、そして心に深く染み込ませて行ったのが、盲目の琵琶法師た
  ちでした。
   古くから親しまれていた琵琶を伴奏楽器に、物語りの一節一
  節を、都を始め各地のお宮やお寺の縁日など、人の集まる所で
  語っては、生活の糧を得ていた琵琶法師たち。各地を渡り歩い
  ては、人々に広く語り聞かせる彼らの活躍が無ければ、この華
  やかで哀調に満ちた物語りもこれほどまでに、日本中に知れ渡
  ることは無かったかも知れません。実際に語りながら、物語を
  ふくらまし、磨きをかけ、完成させて行ったのも彼らでした。
   琵琶法師のことは、室町時代の文学や絵に、よく出て来ます
  し、有名な「鳥獣戯画」にも登場しています。


    親しみ深い平家物語を琵琶
    で全国各地に広めていった
    琵琶法師たち。
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