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●解説

  裸の放浪画家・山下 清

   昭和十二年早稲田大学で、知的障害児施設〈八幡学園〉児童
  の貼り絵展が催され、話題を呼びます。中でも質・量ともに目
  立ったのが、山下清の作品でした。
   翌々年の銀座青樹社での展覧会では、多くの画家や作家から
  注目され、独特な画家としての評価を得て行きます。
   原画で見なければ想像もつかないような、二ミリから三ミリ
  に切った色紙を丹念に貼り込んでゆく、鮮明でナイーヴな画面
  。パリ時代のゴッホの画風だ、と激賞した人もいました。
   が、その翌年彼は学園を抜け出して放浪の旅に出ます。
   徴兵検査を受けるのが怖かった、のがキッカケだったとして
  も、その放浪癖は天成のものだったのでしょう。
   以後、数か月から数年に及ぶ、殆ど日本を一周してしまうほ
  どの放浪の旅を繰り返しては、ふらりと学園に戻って来ては、
  旅の見聞を貼り絵に描き、放浪記を綴る生活を続けたのでした
  。映画『裸の大将・放浪記』の世界です。
   計画的な旅と云えば、恩師式場隆三郎が同行したヨーロッパ
  紀行でしょう。まさにゴッホの世界に触れたのです。


    パリ時代のゴッホの画風と
    激賞された、裸の放浪画家、
    山下 清。
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