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●解説

  銀河の葦舟・地球

   もう目前に来ている二一世紀。
   そして、始まっている「アジア・太平洋障害者の十年」。グ
  ローバルというのか、すべてが地球規模になって行くようです
  。
   また、二一世紀が本格的に、宇宙へ開かれていく時代になっ
  て行くであろうことは、疑いようもない事実でしょう。
   広い宇宙への意識の広がりは、改めて一つの星、地球への思
  いを深めさせてくれています。
   宇宙の海を行く、地球号という名の宇宙船。そんな表現さえ
  用いられています。が、私はふと、銀河を流れ下る小さな葦舟
  をイメージしていました。
   そしてそれは、自然にエビスを乗せた葦舟に重なっていまし
  た。
   重度障害者のヒルコを、福の神エビスに変身させたのは、
  障害者をも生かそうとする、いいえ、共に生きて行こうとする
  人々の心だったと思われるのです。
   歯止めを失った欲望によって、自壊作用さえ始まっている宇
  宙船・地球号を、決定的な破滅から救うのは、やはり、この共
  に生きようとする心一つなのではないでしょうか。

   国際障害者年の掲げた参加と平等は、科学技術の利用という
  点でも、活かされねばならないのです。障害者が関わり支えて
  きた芸術文化の世界。
   どんな重度障害者も豊かな内部世界を持ち合わせていないと
  は限らないのです。


    目前に迫る二十一世紀。
    全て地球規模の時代。
    意識は宇宙に広がるが、
    果たして人類の繁栄が
    約束されるのか、それとも
    自滅への道を辿るのかは、
    同じ地球に共に
    生きようとする人々の
    在り方にある。
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