障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

21年3月11日更新

声明 2011年3月11日 東日本大震災から10年 誰のいのちも等しく大切にする社会に向けて

○JDは2021年3月11日、「声明 2011年3月11日東日本大震災から10年 誰のいのちも等しく大切にする社会に向けて」を公表しました。  【PDF版はこちらから】

2021(令和3)年3月11日

声明
2011年3月11日 東日本大震災から10年
誰のいのちも等しく大切にする社会に向けて


認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井  克 徳





 マグニチュード9の巨大地震、大津波、そして、福島第一原発の大事故が、人々のいのち、暮らし、多くの建物や人々とともにあった自然をも奪ってから10年が経ちました。災害関連死を含め1万9,729人のいのちが失われ、いまだに家族のもとに戻れない行方不明者2,559人、避難生活を送る人は4万1,241人です。
 そして、障害のある人の死亡率は、被災した住民全体の死亡率の2倍という事実があります。看過できないのは、なぜ死亡率2倍だったのか、10年後の今も明らかにされていないことです。
 一方で、東日本大震災からの復興五輪と声高に唱え、福島第一原発はアンダーコントロールされていると海外に向けて発信したこの国の首相らには、人々のいのちや暮らしを守る姿勢が欠如していると言わざるを得ません。
 私たちは、東日本大震災により取り戻すことができない大きな被害や悲しみのなか、今なお復興とはほど遠い生活を送っている多くの人たちがいることを忘れません。

 この10年、各地で自然災害が続きました。熊本地震、北海道胆振東部地震、九州北部豪雨、西日本豪雨等々、地震や豪雨・豪雪による災害が頻発しています。そして、2020年からは新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、災害時の避難行動にはこれまで以上の難しさが生じています。
 当協議会も構成団体の1つである日本障害フォーラム(JDF)とNHKが協力して実施した「障害と防災」のアンケート結果(2021年3月)では、回答者(876人)のうち、87%の人が災害への不安を感じています。災害時に避難しないと回答した人は16.9%、1人では避難所まで移動できない、経管栄養のため避難が困難、情報が不十分、等々といった問題が残ったままです。また、音声情報だけの避難所では取り残されてしまう、ほかの人に迷惑がかかる、日頃から差別の経験があり、避難所に行くのが怖い、等々が挙げられています。それらの声からは、障害ゆえに避難が困難という状況が何ら変わっていないことが明らかです。

 「自助」「共助」では救えないいのちがあります。障害や疾患、高齢など、さまざまな困難のある災害弱者が、安心して地域生活を送ることができる社会こそ、誰もが生きやすい社会です。それは自然災害等によって引き起こされる危機から障害のある人の保護や安全を確保することを明記した障害者権利条約(第11条を中心に)を実現することでもあります。その実現には平時の障害者施策の分厚さ、地域の支援体制こそが大切です。
 誰のいのちも等しく大切にする、そんな社会の実現に向けて、私たちはこれからも、たゆまぬ努力を惜しまない所存です。

*被災者数は、復興庁「東日本大震災からの復興の状況と取組」(2020年9月)、避難者数は復興庁(2021年2月26日)によるものです。

                     

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