21年2月1日更新
○JDは2020年12月16日、障害者の地域での自立生活推進の方策として、住宅手当創設について意見交換会を行いました。川田龍平参議院議員の仲介により厚生労働省社会援護局・年金局ならびに国土交通省住宅局の担当者、JD常務理事、政策委員らが参加しました。
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2020年12月16日
厚生労働大臣
田村 憲久 様
NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表 藤 井 克 徳
住宅手当創設について(要望)
障害者が地域であたりまえに自立した生活を送るためには、介助体制の充実、独立した生活を営む基盤の住宅の確保、障害ゆえにかかる経費を含めた所得保障が欠かせないものです。
介助体制については、より充実が求められますが、少しずつ前進してきています。
障害者権利条約を批准した今、国は地域移行の方針をうたっています。しかしながら、成人した後も、親元での暮らしや施設での暮らしを選ばざるをえない障害者は、今なお多くいます。親兄弟の負担は大きく、本人の尊厳や独立には大きな障壁があります。
なぜ、未だ、地域で親元から独立し、自立した生活を選ぶことができないかは、介助体制の不足とともに、住宅の確保の難しさと所得保障の乏しさに要因があると考えられます。
障害の有無に関わらず、一定の教育を受けた後、各人の様々な状況に応じた就労の場を得て、所得を得ることができる環境を整備することは、最重要課題であると言えます。しかしながら、就労環境の整備が不十分な現在、生活に必要な所得を得ることが困難な障害者にとっては、不足分の所得保障は必須です。
1986年の障害基礎年金の創設以来、障害者の所得保障の根幹は、この障害基礎年金が担っています。創設35年を経て、その水準の見直しがないままにきています。特に、精神障害、知的障害、難病といった障害種別や医学的判定による程度によっては、この年金やその他手当が受けられない人は多くいます。
JDでは、単身で地域自立生活をしている障害者の家計調査を小規模であるも実施しました。その家計は、健康で文化的な生活を送るにはほど遠い現状が浮き彫りになりました。特に、住宅費が家計を圧迫し、他の経費を削らざるをえない生活がみられました。
国は、地域移行の方針を打ち出していますが、成果は乏しいものです。地域移行を阻む要因は、住宅の確保、住宅費の確保といえます。障害者総合支援法は、特定障害者特別給付費として、グループホームの家賃に月1万円を助成しています。「障害者の地域移行をさらに進める」というこの制度の目的に鑑みると、家賃助成をグループホームに限定することなく、一般賃貸住宅にも拡大し、また額の増額も必須です。
未だ課題は山積していますが、まず地域で生きる支援の第一歩として「住宅手当」の創設を足がかりとすることを下記のとおり要望します。
記
1 住宅手当を創設し、親兄弟からの自立、施設や病院からの地域移行を果たしている障害者、またはそれをめざす障害者の支援策を強化すること
2 住宅手当の基準は、生活保護の住宅扶助の特別基準相当額とし、一定の所得制限を設けること
3 住宅手当の支給は、障害の医療的判定によるものでなく、稼働収入の程度によるものとすること
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