障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

20年10月14日更新

日本学術会議への人事介入に対する声明

○JDは2020年10月13日、「日本学術会議への人事介入に対する声明」を公表しました。
 【PDF版はこちらから】

2020年10月13日

日本学術会議への人事介入に対する声明


認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井  克 徳





 日本学術会議への政府による人事介入は、日本学術会議をはじめ、多くの学会、大学人、諸団体から声明が出されているように、憲法が保障する学問の自由の侵害につながるものです。
 日本学術会議は、戦時下における科学者の戦争協力への反省から、「世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法前文)ために設立され、戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わないことを表明しています。そのため、政府からの「独立性」「自律性」が守られてきました。
 菅総理大臣は、自らが任命しなかった理由の説明責任を果たすとともに、任命しなかった6人を含む105人の日本学術会議の推薦者全員を任命すべきです。

 かつて国連は、「一部の構成員をしめ出す社会は弱くもろい」と明言しました。また、障害者権利条約が強調するように、とりわけ障害分野では、さまざまな多様性が尊重されなければなりません。違いを大切にしながら、平和でインクルーシブな社会をめざしています。ときとして違いの中にかけがえのないものを見い出すことがあります。

 そして、政策や制度に対しては、賛成・反対を含めて自由闊達な議論が重要です。それによってよりよい政策や制度がつくられます。そうした議論のためには、意見や発言の自粛や忖度があってはなりません。「人事介入」によって、自由闊達な議論の芽が摘み取られてしまいかねないことを危惧します。それは、多くの障害のある人たちへの不利益を招き、ひいては社会全体の利益の損失につながります。

 私たちは、今回の日本学術会議への人事介入は、学問の自由、思想信条の自由への侵害ととらえます。もしかしたらそれを超える新たな変動の兆しかもしれません。兆しに敏感でありたいと思います。

 日本学術会議や多くの学会、大学人、諸団体と連帯し、今回の人事介入問題の重大性について私たち障害分野からも警鐘を鳴らし続けたいと思います。

                     

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