20年5月11日更新
○JDは2020年4月20日、「【緊急要望】 障害のある人のいのち・健康・くらしを守るために」を公表し、内閣総理大臣、厚生労働大臣宛に提出いたしました。【PDF版はこちらから】
○これに対する、2020年5月7日厚生労働省社会・援護局からの回答はこちらです。
【PDF版はこちらから】
【緊急要望】
障害のある人のいのち・健康・くらしを守るために(回答)
1.感染予防と拡大防止に緊急に必要なこと
1)入所施設・グループホームの感染予防と感染拡大の防止
入所施設、グループホームなど集団での生活の場では、クラスターが起こる危険性が高く、日々感染予防に注力しています。しかし、感染予防のための専用の物資が足りません。感染者が出る前に消毒液、防護衣、サージカルマスクやN95マスクなどの高機能のマスクを定期的に供給してください。
(答)
1 障害者支援施設やグループホームにおいて、新型コロナウイルスに対する感染防止対策をしっかりと講じつつ、事業を継続していただくためには、衛生・防護用品等の確保は重要な課題です。
2 厚生労働省では、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」において、都道府県等が消毒液等の衛生用品を一括購入して障害者支援施設等へ配布するために必要な費用等に対する補助を実施しており、令和2
年度補正予算案においても引き続き必要な経費を計上しています。
3 また、各種衛生・防護用品の国内需給は逼迫しており、
障害福祉サービス事業所等が十分な量を確保することが難しいことが想定されるため、都道府県等に対し、衛生・防護用品の備蓄と障害者支援施設等への迅速な供給に協力いただくようお願いしています。
4 さらに、障害者支援施設等に対しては、再利用可能な布製マスクを国が購入し、順次、少なくとも1人1枚は行き渡るように配布しています。
5 加えて、サージカルマスクについては、国から都道府県に対し優先供給の仕組みがあり、その配布については医療機関優先の考え方とともに、必要な医療機関に十分に配布した上で、各都道府県の判断で障害者施設等に配布するこ
とも可能としています。
6 なお、長袖ガウン、ゴーグル及びフェイスシールドについては、再利用するなど例外的な取扱いが可能であり、その留意点について示していることから、効率的な使用にご協力いただきたいと考えています。
(障害保健福祉部障害福祉課)
(医政局経済課)
2)ホームヘルパーの一律の訪問中止を避けるための訪問マニュアルの作成
発熱などで一律にホームヘルパーの派遣が中止されることは、障害のある人の生活の基盤を大きく揺るがします。厚生労働省は具体的な訪問時のマニュアルを早急に作成し、ホームヘルパーが感染症に対する必要な知識を得て、訪問を継続できるように各事業所に周知徹底してください。
(答)
1 ホームヘルパーの派遣を含む訪問系サービスは障害者の暮らしを支える重要な制度であり、新型コロナウイルスへの感染症対策をしっかりと講じつつ、事業を継続していただくことが重要と認識しています。
2 これまでも新型コロナウイルス感染症が疑われる方が発生した場合の対応等を順次周知しており、例えば3月6日付け事務連絡では、訪問介護事業所等が濃厚接触が疑われる利用者にサービス提供を行う場合の留意点などを詳細にお示ししているので、それぞれの訪問介護事業所等において、介護従事者に周知徹底を図っていただきたいと考えています。
3 また、訪問系サービスについて、利用者に発熱等の症状がある場合であっても、十分な感染防止対策を前提として、必要なサービスが継続的に提供されることが重要であると周知しています。
4 今後とも、新型コロナウイルスの感染拡大防止に引き続き努めてまいります。
(障害保健福祉部障害福祉課)
3)ホームヘルパーを感染から守るための措置
障害のある人にとって、ホームヘルパーの派遣は生きていくために必要不可欠です。また、感染拡大などにより、通所サービスが利用できなくなった時にホームヘルプサービスは代替えサービスとして必要となります。ホームヘルパーの感染防止のためにサージカルマスク、消毒液、防護衣などを早急に供給してください。
(答)
1 ホームヘルパー派遣を含む訪問系サービスを提供するにあたって、新型コロナウイルスに対する感染防止対策をしっかりと講じつつ事業を継続していただくためには、衛生・防護用品等の確保は重要な課題です。
2 厚生労働省では、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」において、都道府県等が消毒液等の衛生用品を一括購入して障害者支援施設等へ配布するために必要な費用等に対する補助を実施しており、令和2
年度補正予算案においても引き続き必要な経費を計上しています。
3 また、各種衛生・防護用品の国内需給は逼迫しており、障害福祉サービス事業所等が十分な量を確保することが難しいことが想定されるため、都道府県等に対し、衛生・防護用品の備蓄と障害者支援施設等への迅速な供給に協
力いただくようお願いしています。
4 さらに、障害者支援施設等に対しては、再利用可能な布製マスクを国が購入し、順次、少なくとも1人1枚は行き渡るように配布しています。
5 加えて、サージカルマスクについては、国から都道府県に対し優先供給の仕組みがあり、必要な医療機関に配布した上で、各都道府県の判断で障害者施設等に配布することも可能としています。
6 なお、長袖ガウン、ゴーグル及びフェイスシールドについては、再利用するなど例外的な取扱いが可能であり、その留意点について示していることから、効率的な使用にご協力いただきたいと考えています。
(障害保健福祉部障害福祉課)
(医政局経済課)
4)感染予防のための事業所の臨時休業・受入れ縮小の際の障害のある人の給与や工賃の保障
感染リスクが高い人や公共交通機関を利用して通所する人たちは、在宅での支援に切り替える場合があります。働いている障害のある人には公的な工賃保障の仕組みがありません。障害のある人の給与や工賃の保障を早急に制度化してください。
(答)
1 今般の新型コロナウイルス感染症への対応に当たっては、感染拡大防止を図りつつ、就労継続支援事業所やそこで働く障害者への影響もできる限り小さくしていくことが重要です。
2 このため、就労継続支援事業についても、利用者の居宅等でできる限りのサービスを提供した場合に報酬の算定を可能とすることや、賃金や工賃の支払いに自立支援給付費を充てることを可能とすることなど、柔軟な取扱いを認めております。
3 このほか、
・ 事業規模を縮小することとなった事業所に対しては無利子
・無担保の資金融資による経営支援
・事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用維持のために労働者を休業させた場合には雇用調整助成金による助成
などの支援を実施おり、当面は、雇用や事業の継続を最優先にあらゆる手立てを講じていきます。
4 また、令和2年度補正予算案に盛り込んだ事業を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた就労継続支援事業所の生産活動を積極的に支援することとしていますので、引き続き、就労継続支援事業所やそこで働く障害者への支援に取り組んでいきます。
(障害保健福祉部障害福祉課)
5)感染予防のための臨時休業などの際の職員の雇用保持
障害者の事業所に対しては緊急事態宣言を受けて臨時的取扱いが行われていますが、自治体間格差があります。臨時的取扱いに自治体間格差がないようにし、職員の雇用を守ってください。
(答)
1 新型コロナウイルス感染症の対応について、感染拡大防
止に万全を期すとともに、障害のある方々の暮らしに必要
な障害福祉サービスが安定的に提供されるよう事業所を
支援していく必要があると考えています。
2 ご指摘の臨時的な取扱いは、障害福祉サービス事業所が
居宅等において健康管理や相談支援等のできる限りの支
援の提供を行ったと市町村が認める場合に報酬の対象と
するもので、これまで数次にわたり周知しておりますが、
引き続き、周知・徹底に努めてまいります。
(障害保健福祉部障害福祉課)
6)換気や衛生条件の整った場所での小規模分散での支援のための公的施設の一時活用
障害のある人にとって通所先を一時的であっても失うことは、生活基盤を奪われることでもあります。できるだけ密集しない環境で事業所を継続させるためには、小規模分散での支援も方法の1つです。一時的に公的施設が利用できるように各自治体に柔軟な対応を求めてください。
(答)
1 今般の臨時的な取扱いでは、代替施設においてサービス
を提供する場合、これまで提供していたサービスとの間に
継続性が認められる場合、報酬の算定が可能としています。
(障害保健福祉部障害福祉課)
2.感染した場合、緊急に必要なこと
1)入所施設、グループホームで、障害のある人や支援者に感染の疑いが出た場合の早急な検査体制
集団生活の場で感染の疑いがある人が出た場合は、一刻も早い検査が必要です。感染者を確定し、速やかに治療につなげることがクラスターの発生を防ぐことになります。検査体制を大きく見直し、必要な検査を速やかに受けられるようにしてください。
(答)
1 新型コロナウイルス感染症のPCR検査については、
医師が必要と認めた場合は検査を行うよう地方自治体
に依頼しているほか、濃厚接触者がハイリスクの者に接
する機会のある業務に従事している場合には、無症状で
あっても、検査対象とすることができることとしていま
す。
2 また、PCR検査の体制については、全国で1日
15,000 件を超える検査能力を確保しており、4月7日に
取りまとめた緊急経済対策において、簡易検査等の迅速
な検査の促進などにより、検査能力を2万件まで増強す
ることとしています。
(健康局結核感染症課)
2)障害のある人が感染した場合の速やかな入院
障害のある人は、他の疾患を抱えていることが多く、治療の遅れはいのちの危機を招きます。障害特性を考慮した治療環境を整え、速やかに入院治療を受けられるようにしてください。
(答)
1 3月19 日付けの事務連絡において、厚生労働省から都
道府県等に対し、入院患者受入れのための病床の確保等、
新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたとき
に備えた入院医療提供体制等の整備について検討を依頼
し、各自治体において調整・確保が行われているところで
す。
2 さらに、障害のある方については、医療提供体制の検討
を行う上で特に配慮が必要となることから、あらかじめ、
障害のある方各々の障害特性等を踏まえた受入医療機関
の整備を行うことについて、別途、都道府県に対し検討を
依頼しています。
3 障害のある方を含めあらゆる方が、新型コロナウイルス
に感染した場合に適切な治療を受けられるよう、引き続き
環境の整備に取り組んでまいります。
(新型コロナウイルス感染症対策推進本部医療体制班)
(障害保健福祉部障害福祉課)
3)障害のある人に感染者、感染の疑いが出た場合の他の入居者との交流を制限できる空間の用意
入所施設、グループホームで感染者、感染疑いのある人が出た場合に、他の入居者とは別の場所で生活できるような場所を用意してください。
(答)
1 障害福祉サービスは、利用者やその家族の生活を支える
ために欠かせないものであり、十分な感染症拡大防止対策
を講じた上で継続的に提供されることが最も重要です。
2 障害のある方が新型コロナウイルスに感染した場合、重
症化するおそれが高い方に該当するときや、感染防止にか
かる留意事項が遵守できないものと考えられるときは、軽
症であっても、感染症法に基づく入院措置が行われます。
3 また、令和2年度補正予算(案)では、障害者支援施設
やグループホーム等において、感染が疑われる者の居住空
間を分離するために実施する多床室の個室化に要する改
修経費に対する補助を計上しています。
(障害保健福祉部障害福祉課)
(健康局結核感染症課)
4)情報公開への配慮
感染者が発生した事業所についてマスコミへの情報提供が行われていますが、入所施設やグループホームなどで感染者が出た場合など、障害者差別や偏見を助長することのないように留意し、その場所が特定されないなどの配慮を求めてください。
(答)
1 感染症の発生状況等に関する情報の公表に当たって
は、感染者等に対して不当な差別及び偏見が生じないよ
うに、個人情報の保護に留意しなければならないと考え
ています。
2 このため、感染症のまん延防止のために必要な範囲で
情報を公表することとしており、例えば、次の情報は原
則として公表しないこととしています。
・ 氏名、国籍、基礎疾患、職業、居住市区町村
・ 他者に感染症を感染させる可能性がない時期の行
動歴
・ 感染者に接触した可能性のある者を把握できてい
る場合においては、公共交通機関に関する情報(飛
行機の便名、船舶の船名)以外の行動歴
(健康局結核感染症課)
また、政府ならびに自治体の関連会見、関連談話等に際しては、手話通訳を必置としてください。とくに、自治体間の格差の是正を図ってください。
(答)
1 障害者基本法第22 条第2項では、国及び地方公共団体
において、災害その他非常の事態の場合に障害者に対し情
報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずる
ものと規定されている。
2 これを踏まえ、各府省及び地方公共団体において各種取
組を行っており、例えば、厚生労働省では、厚生労働大臣
記者会見について、
・概要を速やかに同省のホームページに掲載、
・映像に字幕を付した動画をインターネットを通じて公
開
など、必要な配慮を行っている。
3 また、地方自治体に対しては、聴覚障害者情報提供施設、
地域の障害者団体等と連携を図った上で、字幕映像の提供
など、聴覚障害者に対する情報提供における配慮について
依頼している。
3.現在の新型コロナウイルス禍を通して早急に改善が必要なこと
1)感染症対策に対応できる保健所機能の再構築を
検査の遅れが感染者を増やしている現状があります。保健所の統廃合を進めた結果が今回の保健所機能のオーバーフローにつながっています。国は1994年に保健所法を廃止し地域保健法とし、その後保健所を半減させたのです。公衆衛生機能を後退させたツケが今回の検査体制の弱体化に現れています。このような事態を繰り返さないために保健所機能の再構築を求めます。また、国が国立や公立病院の統廃合や病床の再編成を進めたことで、拠点となる地域医療の崩壊を招いています。人々のいのちを守る医療体制を再構築してください。
(答)
(保健所機能について)
○ 保健所法を地域保健法に改正した1994 年(平成6)年
までに、保健所の運営に係る費用は一般財源化されており、
保健所の設置については、各自治体において地域の実情を
踏まえながら行われているところです。
○ なお、地域保健法に基づき策定した「地域保健対策の推
進に関する基本指針」では、保健所の広域的、専門的かつ
技術的拠点としての機能強化のため、規模の拡大や、施設
及び設備の充実を図ることとし、都道府県保健所の所管区
域については、二次医療圏等とおおむね一致することを原
則としており、これを踏まえ、保健所の集約化が進んだも
のと認識しています。
○ 各地域においては、少子高齢化による人口減少や厳しい
財政状況の中、健康危機管理体制の確保などの課題に直面
しており、国としては、引き続き、各自治体に対し必要な
体制の確保を求めるとともに、自治体職員を対象とした実
地疫学の専門家の養成、地震・豪雨などの災害に対応する
ための健康危機管理支援チームの養成を通じた人材育成
など、保健所の機能強化に向けた必要な支援を行ってまい
ります。
(医療体制について)
○ 地域医療構想は、地域の医療ニーズに合わせ、効率的で
質の高い地域医療提供体制の確保を目指して取り組むも
のであり、地域の医療機関が担うべき役割や、統廃合の方
向性を機械的に決めるものではありません。
○ このため、それぞれの地域において、その実情を踏まえ
ながら、必要とされる医療提供体制の議論を深めていただ
きたいと考えており、引き続き地域医療介護総合確保基金
によりその体制整備に対する財政支援を行ってまいりま
す。
(健康局健康課)
(医政局地域医療計画課)
2)日額払いの報酬支払制度の撤廃を
緊急事態宣言を受けて臨時の取扱いとして在宅支援が認められました。しかし、あくまでも臨時的取扱いに過ぎません。ここ数年間の大規模災害でもそうでしたが、今回のコロナ問題でも日額払いの報酬制度がいかに事業所運営を脆弱なものにしているかが露わになりました。臨時的取扱いが行われなければ、全国の相当数の事業所の事業が継続困難になっていたはずです。障害のある人を支える仕組みとしての福祉サービスにおける1割の自己負担原則の利用契約や報酬の日額払いの制度はこの機会に見直し、必要に応じて受けられるサービスへの見直しや、報酬については月額払いとして、障害のある人が安心して使えるサービス、そのことを支える事業所の安定的な運営を確立すべきです。
(答)
1 障害を有する方々に障害福祉サービスを継続して提供
するため、事業所の安定的な運営を支援することは重要な
課題と認識しています。
2 このため、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、
・ 一時的に人員基準を満たすことができない場合にも
報酬を減額しない特例や、
・ 都道府県等からの要請を受けて休業している場合等において、利用者の居宅等でできる限りの支援の提供を行ったと市町村が認める場合は、通常提供しているサービスと同等のサービスを提供しているものとして、通常と同等の報酬の算定を可能とする特例
を設けるなどにより、今般の状況の中においても、継続してサービスの提供が可能となるよう環境整備を行って
ます。
3 さらに、感染防止の観点から休業等を余儀なくされた場合においては、
・ 無利子・無担保の資金融資による経営支援
・ 雇用維持を図った場合における雇用調整助成金によ
る助成
等の支援を行っています。
4 なお、ご指摘の障害福祉サービス等における利用者負担
については、既に所得に応じて一月当たりの負担限度額を
設定し、これとサービス費用の一割とを比較して低い方の
額としており、所得の状況を考慮した措置を講じています。
5 また、報酬の月額払いの変更については、障害福祉サー
ビスは、利用者が日ごとに複数のサービスを組み合わせて
利用することができるよう、日々の利用実績に応じた日額
払い方式により報酬が支払われる仕組みとしており、これ
は、医療保険制度や介護保険制度も同様です。
今後とも、利用者がニーズに合ったサービスを選択で
きるようにするために、基本的には日額払い方式を維持
すべきと考えています。
6 引き続き、事業所の運営状況等を踏まえつつ、適切かつ
迅速に対応してまいります。
(障害保健福祉部障害福祉課)
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