20年5月12日更新
○JDは2020年4月20日、「【緊急要望】 障害のある人のいのち・健康・くらしを守るために」を公表しました。両大臣宛に提出いたしました。
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○これに対する、2020年5月7日厚生労働省社会・援護局からの回答はこちらです。
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○厚生労働省からの回答に対する「4月20日付当会の緊急要望へのご回答への再質問」(2020年5月11日)を、内閣総理大臣、厚生労働大臣宛に提出いたしました【PDF版はこちらから】
○これに対する、2020年5月27日厚生労働省からの回答(概要)はこちらです。
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2020年4月20日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
厚生労働大臣 加藤 勝信 様
認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表 藤 井 克 徳
【緊急要望】
障害のある人のいのち・健康・くらしを守るために
新型コロナウイルスの感染が各地で広がり、障害者施設でもクラスターが発生しています。感染拡大の要因の1つにPCR検査が受けにくいことや、医療へのアクセスの困難さが指摘されています。
障害のある人の中には呼吸器の疾患、腎臓病、糖尿病、また、難病、生きるために常に人の支えを必要とする人たち、日常から医療的ケアを受けている人たちがいます。
障害のある人の多くは感染によっていのちにかかわる危険性が高く、現在は危機的状況と言えます。WHOでも障害のある人が新型コロナウイルスの影響を大きく受けやすいことを指摘し、障害のある人への追加の配慮を求めています。
また、いのちの選別が行われることへの懸念があります。海外では感染が拡大し、医療崩壊する中で、高齢者や障害者には人工呼吸器を装着しないという動きがあると報道されています。いのちの選別は決して行われてはなりません。二度と優生思想、優生政策の広がりを許してはなりません。
日本障害者協議会(JD)は、障害のある人のいのちと健康・くらしを守るために、以下のことを緊急に求めます。
1.感染予防と拡大防止に緊急に必要なこと
1)入所施設・グループホームの感染予防と感染拡大の防止
入所施設、グループホームなど集団での生活の場では、クラスターが起こる危険性が高く、日々感染予防に注力しています。しかし、感染予防のための専用の物資が足りません。感染者が出る前に消毒液、防護衣、サージカルマスクやN95マスクなどの高機能のマスクを定期的に供給してください。
2)ホームヘルパーの一律の訪問中止を避けるための訪問マニュアルの作成
発熱などで一律にホームヘルパーの派遣が中止されることは、障害のある人の生活の基盤を大きく揺るがします。厚生労働省は具体的な訪問時のマニュアルを早急に作成し、ホームヘルパーが感染症に対する必要な知識を得て、訪問を継続できるように各事業所に周知徹底してください。
3)ホームヘルパーを感染から守るための措置
障害のある人にとって、ホームヘルパーの派遣は生きていくために必要不可欠です。また、感染拡大などにより、通所サービスが利用できなくなった時にホームヘルプサービスは代替えサービスとして必要となります。ホームヘルパーの感染防止のためにサージカルマスク、消毒液、防護衣などを早急に供給してください。
4)感染予防のための事業所の臨時休業・受入れ縮小の際の障害のある人の給与や工賃の保障
感染リスクが高い人や公共交通機関を利用して通所する人たちは、在宅での支援に切り替える場合があります。働いている障害のある人には公的な工賃保障の仕組みがありません。障害のある人の給与や工賃の保障を早急に制度化してください。
5)感染予防のための臨時休業などの際の職員の雇用保持
障害者の事業所に対しては緊急事態宣言を受けて臨時的取扱いが行われていますが、自治体間格差があります。臨時的取扱いに自治体間格差がないようにし、職員の雇用を守ってください。
6)換気や衛生条件の整った場所での小規模分散での支援のための公的施設の一時活用
障害のある人にとって通所先を一時的であっても失うことは、生活基盤を奪われることでもあります。できるだけ密集しない環境で事業所を継続させるためには、小規模分散での支援も方法の1つです。一時的に公的施設が利用できるように各自治体に柔軟な対応を求めてください。
2.感染した場合、緊急に必要なこと
1)入所施設、グループホームで、障害のある人や支援者に感染の疑いが出た場合の早急な検査体制
集団生活の場で感染の疑いがある人が出た場合は、一刻も早い検査が必要です。感染者を確定し、速やかに治療につなげることがクラスターの発生を防ぐことになります。検査体制を大きく見直し、必要な検査を速やかに受けられるようにしてください。
2)障害のある人が感染した場合の速やかな入院
障害のある人は、他の疾患を抱えていることが多く、治療の遅れはいのちの危機を招きます。障害特性を考慮した治療環境を整え、速やかに入院治療を受けられるようにしてください。
3)障害のある人に感染者、感染の疑いが出た場合の他の入居者との交流を制限できる空間の用意
入所施設、グループホームで感染者、感染疑いのある人が出た場合に、他の入居者とは別の場所で生活できるような場所を用意してください。
4)情報公開への配慮
感染者が発生した事業所についてマスコミへの情報提供が行われていますが、入所施設やグループホームなどで感染者が出た場合など、障害者差別や偏見を助長することのないように留意し、その場所が特定されないなどの配慮を求めてください。
また、政府ならびに自治体の関連会見、関連談話等に際しては、手話通訳を必置としてください。とくに、自治体間の格差の是正を図ってください。
3.現在の新型コロナウイルス禍を通して早急に改善が必要なこと
1)感染症対策に対応できる保健所機能の再構築を
検査の遅れが感染者を増やしている現状があります。保健所の統廃合を進めた結果が今回の保健所機能のオーバーフローにつながっています。国は1994年に保健所法を廃止し地域保健法とし、その後保健所を半減させたのです。公衆衛生機能を後退させたツケが今回の検査体制の弱体化に現れています。このような事態を繰り返さないために保健所機能の再構築を求めます。また、国が国立や公立病院の統廃合や病床の再編成を進めたことで、拠点となる地域医療の崩壊を招いています。人々のいのちを守る医療体制を再構築してください。
2)日額払いの報酬支払制度の撤廃を
緊急事態宣言を受けて臨時の取扱いとして在宅支援が認められました。しかし、あくまでも臨時的取扱いに過ぎません。ここ数年間の大規模災害でもそうでしたが、今回のコロナ問題でも日額払いの報酬制度がいかに事業所運営を脆弱なものにしているかが露わになりました。臨時的取扱いが行われなければ、全国の相当数の事業所の事業が継続困難になっていたはずです。障害のある人を支える仕組みとしての福祉サービスにおける1割の自己負担原則の利用契約や報酬の日額払いの制度はこの機会に見直し、必要に応じて受けられるサービスへの見直しや、報酬については月額払いとして、障害のある人が安心して使えるサービス、そのことを支える事業所の安定的な運営を確立すべきです。
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