障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

20年3月11日更新

声明 3.11東日本大震災を忘れない 共に生きるインクルーシブな社会を

○JDは2020年3月11日、「声明 3.11東日本大震災を忘れない 共に生きるインクルーシブな社会を」を公表しました。
【PDF版はこちらから】




2020年3月11日

声明

3.11東日本大震災を忘れない 共に生きるインクルーシブな社会を


認定NPO法人日本障害者協議会(JD)
代 表  藤 井  克 徳





 2011年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9の巨大地震と大津波、福島第一原発事故による東日本大震災。あれから9年がたった。
 死者1万5899人。「明日こそは帰ってくるのでは」とする行方不明者は2529人。いわゆる関連死は3739人に上る。そして4万7737人の人々は避難生活を強いられたまま。なかでも、3万914人は福島に帰れていない。
 政府主催の東日本大震災追悼式典が中止されるなか、原発の町に建った復興公営住宅に面した真新しい道路を、「復興五輪」の聖火が走るという。

 私たちは3.11を忘れない。
 被災地で亡くなった障害のある人の比率は住民全体の比率に比べて2倍。被災した障害のある人たちは、必要な支援や医療、生活サポート等を受けることができなかった。命や健康、安全で安心できる生活が、避難所でも仮設住宅でも避難先でも保障されず、「がまん」「あきらめ」を強いられている。「復興」の二文字が空々しい。
 この9年間に熊本地震被害や気候変動による相次ぐ水害被害が続いたが、東日本大震災の経験は生かされていただろうか。障害のある人たちの避難時の困難、避難所や福祉避難所の問題も解決していない。

 あらためて考える。
 災害時は、日常の社会保障、社会福祉の貧困が浮き彫りになる。介護保険に倣った障害福祉サービスの日額払いの仕組みは、職員の非常勤化を一気に進め、障害福祉の土台をじわじわと侵食している。地域格差も広がり、人手不足に各所から悲鳴があがる。また、全国で広がった保健所の統廃合によって、感染症対策に脆弱な日本の実態も露呈した。
 さらに、今日の新型コロナウイルスの問題によって、先行きの不透明さによる不安も広がり、感染被害を防ぐ努力が、同時に日額報酬制による事業所の経営を直撃する。
 困難なときこそ、もっとも困難をかかえた障害のある人を含め、誰一人取り残さないすべての人の社会。それは、障害者権利条約がめざす共に生きるインクルーシブな社会の本質であり、SDGs(国連・持続可能な開発目標)の精神でもある。

          

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