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19年4月10日更新

「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」衆議院厚生労働委員会採決にあたっての緊急声明

○JDは2019年4月10日、 「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」衆議院厚生労働委員会採決にあたっての緊急声明を公表しました。
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2019年4月10日



「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」
衆議院厚生労働委員会採決にあたっての緊急声明

NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳







 当会は、国民優生法とこれに続く優生保護法とその関連政策による被害は、人権に関する政策の中で最大かつ最悪の問題と指摘し、3月14日に発表された「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律案」(以下、法律案)の抜本的見直しを強く求めてきた。
 しかし、4月10日の衆議院厚生労働委員会では被害当事者の意見を聴取することなく、また、補償額が極めて低いまま採決した。これは、障害者権利条約が謳う「私たち抜きに私たちのことを決めないで」の声を立法過程で裏切ったことになる。2018年1月の仙台地裁への提訴に始まり、全国7地裁の20人の原告の訴えには程遠く、立法府で犯した過ちは、立法府で取り戻すべきであることを改めて指摘したい。

 原告や被害者らが高齢であり、早期の謝罪と補償が必要であることは自明である。「この機を逃したら」という関係者の思いや意見もある。しかし、法律によって身体を傷つけられ、傷つけられた身体は元に戻ることはなく、子どもを持つ権利・持つか持たないかを選ぶ権利を奪い、心も深く傷つけた行為に対し、「一時金320万円」はあまりに低く、立法府の人権意識が問われる。

 国の責任を明らかにし、憲法違反を認め、深い謝罪を行い、補償範囲の拡充と被害回復にふさわしい補償内容、第三者性を担保した認定の仕組み、再発防止のための被害者の信頼に足りうる検証体制の確立を求める。

 参議院においては、参考人として被害当事者代表や障害団体の代表の声を聴くべきである。被害当事者、そして障害当事者から歓迎されない「全会一致」はあるべきではない。良識の府にふさわしい審議を求める。

 
          

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