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19年3月15日更新

「障害者雇用水増し」問題の再検証と課題に関する声明

○JDは2019年3月15日、「障害者雇用水増し」問題の再検証と課題に関する声明を公表しました。
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2019年3月15日



「障害者雇用水増し」問題の再検証と課題に関する声明

NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳






 昨年、中央省庁等における障害者の雇用水増しという驚くべき実態が明るみになった。水増しは制度開始以来行われており、固有名詞なき被害者は累積で3000人以上にものぼると考えられる。第4次障害者計画には「国の機関は民間に率先垂範して障害者雇用を進める立場」と明記しながら、国民に対する背信行為を続けてきたのであり、障害者権利条約や障害者基本法を障害政策の柱に据えるべきいま、言語道断である。
 当会は、昨年、この問題に関しての要望書を出しているが、政府はそれに一切答えることなく、今日に至っている。
 今国会で集中的に審議されている「毎月勤労統計などの不正問題」と同様、行政の深刻なコンプライアンス違反であり、国会での集中的な審議、再検証を早急に行うべきであろう。マスコミ等でも、障害問題というマイノリティーな問題ととらえられているためか、置き去りにされている風潮に危機感を覚える。
 政府はこの問題の重大性を鑑み、障害者や関係者などに謝罪し、その上で当事者団体を含めた徹底した検証を行い、原因究明と実効性ある再発防止策を立てることを切望し、以下に記す。



1.「障害者雇用水増し」問題について、内閣総理大臣は政府を代表して重く受け止め、誠意ある態度表明を行うこと。
 現在開かれている通常国会での安倍総理の施政方針演説においてもこの問題に対する言及がなく、政府の「障害者雇用水増し」問題の認識の不十分さが露呈している。総理は問題の重大さを認識し、誠意ある態度を明らかにすべきである。

2. 上記の真摯な態度表明を前提に、障害当事者を加えてこの問題の徹底検証を行うこと。
 障害当事者団体を加えての徹底検証は不可欠である。私たちは「すでに検証を終えている」とする政府の見解については了解していない。
原因を究明し再発防止策を議論を通して示していく必要がある。また今回の人事院による障害者採用の選考ならびに採用後の雇用状況などについても検証していくことが必要である。

3. 第三者性を備えた監視のための仕組みづくりを行うこと。
 中央省庁の障害者雇用率をはじめ、合理的配慮の提供を含めた障害のある労働者の待遇や、採用選考のプロセス全体について、チェックできる仕組みづくりが必要であり、それは行政から独立した法的な根拠を有する機関とすること。

 
          

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