18年12月21日更新
○JDは2018年12月13日、職員の募集及び採用時並びに採用後において各省各庁の長が講ずべき措置に対する指針案に対するJD意見を、パブリックコメント(パブコメ)として人事院事務総局人材局企画課へ提出しました。
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(参考)職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針案に対するパブリックコメント(意見公募)2018年11月30日~12月13日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=050201803&Mode=0
2018年12月13日
職員の募集及び採用時並びに採用後において
各省各庁の長が講ずべき措置に対する指針案に対するJD意見
NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
1.指針案以前の問題点の指摘
国の機関は民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場にあったにもかかわらず、障害者雇用の人数を報告する際に不正が行われていたことについて、何ら検証が進められていない。なぜ、障害者雇用をごまかしていたのか、その背景にあるものを明確にし、その問題を解決することなしに、募集・採用を進めることは拙速である。
障害者雇用を推進させるためには、今回の不正についての徹底的な検証を第三者機関において一定数の障害当事者が参加して行うことが必須である。
2.合理的配慮以前の環境整備・支援体制の確立について
障害者が他の者との平等を基礎として、職場で働く場合には合理的配慮に先んじて、現行制度の問題を解決する必要がある。雇用施策と福祉施策の縦割りを改善する必要があるが、今回の指針案は従来の支援の枠組みの中でしか検討されておらず、合理的配慮以前の環境整備や制度の見直しなどに言及されていない。物理的環境や情報体制などのアクセシビリティの確立によって、可能な限り合理的配慮がなくても参加できるようにするべきであり、権利条約第5条、9条や差別解消法第5条を踏まえるべきである。
3.合理的配慮の基本は人による支援
面接時に就労支援機関の職員等の同席を認めているが、統一試験の際にも、必要な個人に対応する職員等の配置が必要である。実際の就労場面でも人による支援がもっとも重要になる。採用後に業務指導や相談の担当者を決めると記述されているが、障害のある人を雇用した場合にはその障害に合わせた支援が求められ、しかも継続的に必要な場合が多い。この、人による支援の継続こそ、障害者雇用の根幹であるが、そのことの言及がない。
4.過重な負担について
合理的配慮について、指針案では、「当該府省の予算や定員の状況に応じた負担の程度」としており、これまで長期間にわたって障害者雇用の不正があった状況と同様の体制の中で障害者雇用を推進しようとしている。現在示されている指針案では、権利条約第27条や障害者にとってのディーセントワークの実現は困難である。
5.「能率」を「能力」に
「指針案」には3箇所にわたり、「障害者でない職員との均等な待遇の確保又は障害者である職員の『能率の発揮及び増進』の支障となっている事情を改善するため」という表現がある。これは、障害者を「能率の悪い者」とみなし、その対策としての合理的配慮、などと誤解され、障害者雇用促進法の趣旨が歪められる恐れがあるので、障害者雇用促進法にある「障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する『能力の有効な発揮』の支障となっている事情を改善するため」に変えるべきである。
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