障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

18年11月21日更新

要望書 障害者雇用の水増し問題「検証委員会報告書」は不充分-徹底した再検証を求める

○JDは、2018年11月19日、「要望書 障害者雇用の水増し問題「検証委員会報告書」は不充分-徹底した再検証を求める」を内閣総理大臣、厚生労働大臣、主な政党などに提出しました。また、増田常務理事、藤井代表が参考人として出席した参議院・衆議院の厚生労働委員会の資料として提出しました。
【PDF版はこちらから】

2018(平成30)年11月19日


要望書
障害者雇用の水増し問題「検証委員会報告書」は不充分-徹底した再検証を求める


NPO法人日本障害者協議会
      代 表 藤井 克徳






 当会では、8月27日に、中央省庁等の「障害者雇用水増し問題」(以下、水増し問題)について声明を発表し、10月18日には、これを契機に障害者の労働及び雇用制度の抜本的な改革を求める要望書を提出した。検証委員会での徹底解明に期待したが、残念ながら徹底解明にはほど遠い結果となった。
 水増し問題についての検証委員会報告書(国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会報告書)が10月22日に発表された。その報告書には今般の不適切な行為の原因として、厚生労働省の障害者雇用の実態に対する関心の低さ、対象障害者の計上方法についての正しい理解の欠如、法の理念に対する意識の低さが挙げられている。しかし、これでは長年にわたる法律違反がなぜ続いてきたのか、まったく解明されていない。なぜ、障害者雇用の実態に関心が薄かったのか、省庁横断的に法律違反が行われ、しかも長期にわたって放置されてきたのかは解明されていない。
 また、11月12日厚生労働省の「違法行為はなかった」との表明に続き、他の省庁も職員の処分を見送っている。しかし、今回の「水増し問題」は、長年にわたる違法状態であったことは紛れもない事実で、実際に雇用されるはずだった人が雇用されなかったのである。この不利益を被った数多くの被害者の立場に立った政治責任を問う必要がある。さらにこの違法状態を長年放置してきた各省庁の大臣や幹部の監督責任も問われるべきであろう。
 このため、以下の3点について、要望する。

1.現在開会中の第197回臨時国会で集中審議を行なってください。
 「障害者雇用水増し問題」は重要な政治課題である。なぜ長期にわたる法律違反が省庁横断的に行われてきたのか国会の場で解明すべきである。
 「報告書」ではルールが正しく理解されていなかったと報告されているが、法律違反を長年重ねてきたという事実は重い。この検証委員会報告で「意識が低い」「関心が薄い」と指摘しているが、なぜ意識が低く、関心が薄いのかが解明されていない。
 平成26年の独立行政法人労働者健康福祉機構による障害者雇用の虚偽報告については元理事らが罰金刑の刑事処分を受けている。検証報告では、法律違反の事実をあいまいにしており、改めての国会での集中審議を求めるものである。なお、障害関係団体の参考人招致を行うべきである。

2.障害当事者・関係者が参加する徹底的な再検証を行なってください。
 当会はじめ、障害関係団体は、繰り返し、障害当事者・関係者が参加した検証会議を設けることを求めてきた。日本は障害者権利条約を批准し、遵守することを約束している。改めて、検証会議の構成員には障害当事者・関係者を一定数以上にし、徹底的な検証を行うことを求める。

3.日本国憲法第17条、73条に照らして検証を行なってください。
 第17条では、公務員の不法行為で損害を受けたときには、国または公共団体にその賠償を求めることができるとしている。第73条には内閣は法律を誠実に執行し、国務を総理することとある。今回の水増し問題は公務員による不法行為であり、法律違反と言わざるを得ない。違法状態を放置してきた厚生労働省はじめ、各省庁の大臣や幹部の監督責任も含め、徹底検証を行う際には憲法第17条、73条に照らした検証を行うべきである。

           

フッターメニュー