18年8月27日更新
○JDは、2018年8月27日、中央省庁や自治体が、雇用する障害者数を40年以上もの間、水増ししていた問題についての声明を発表しました。
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2018年8月27日
声明
国などによる障害者雇用「水増し」問題は障害のある人への背信行為
-第三者機関による徹底した真相解明と障害者の労働政策の抜本的改革を-
NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
今般発覚した中央省庁や自治体等における障害者雇用「水増し」問題は、自ら法を遵守しなければならない行政による国民への背信行為である。障害分野に走った衝撃は計り知れない。わけても、範を垂れるべき中央省庁において法律違反が重ねられてきたこと、また40年余にわたって不正を正せなかった障害者雇用の総元締めたる厚生労働省の責任は重大である。
なお、政府は、本年3月に「第4次障害者基本計画」を閣議で決定した。その中に、「国の機関においては民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、法定雇用率の完全達成に向けて取り組むなど、積極的に障害者の雇用を進める。」と明記している。今般の出来事はこれに背くものである。個々の省庁の責任は言うに及ばず、内閣を中心に政府の中枢および閣議としての責任が問われよう。
私たちは、現段階で以下の諸点を指摘したい。
第一は、多くの障害者の公的機関で働く機会が、政府によって奪われたことである。その数は2017年度だけでも3400人を下回らないとされているが、42年間の累計の数は一体どれくらいに上るのか、精緻な数値を詳らかにすべきである。
第二は、政府公表の各種データへの信頼が決定的に揺らいだことである。「制度の理解が不十分だった」「悪意はなかった」などが通用するとすれば、政府の公表とは何なのか、政府データを元に策定される関連政策全体が崩れることとなろう。
第三は、民間企業の障害者雇用に悪影響が及ぶことへの懸念である。行政自らに不正があれば指導力が鈍るのは必至であり、企業としても行政に不信を抱くのは当然である。結果として、法定雇用率の未達成企業が半数に上る民間企業での雇用促進に水を差すことは間違いない。
以上の諸点を踏まえて、私たちはさらに重大な問題を感じずにはいられない。それは、「障害分野だから許されたのでは」の疑念であり、また、「できることなら障害者を新規に雇い入れたくない」とする本音が、しかも政府全体として垣間見られるのである。これらを障害者差別と言わずして何と言うのだろう。そうでないと言うのであれば、それを完全に払拭するだけの説明責任を果たしてほしい。
政府が当面為すべきは、二つである。一つは、徹底して今般の法律違反の実態を明らかにすることである。障害者の前に、国民の前に、すべての関連する事実を公表してほしい。もう一つは、実質的で本格的な検証体制を確立することである。政府自らの不正であり、検証体制にあって恣意的な人選は許されない。障害当事者団体の代表を含む、透明度の高い検証体制を求めたい。
最後に、障害者の「労働及び雇用」分野は、私たちの国が積み残してきた重点課題の一つである。自治体の状況を含めての実態把握や検証と合わせて、福祉的就労を含む、障害者の「労働及び雇用」政策全体の抜本的な改革に着手すべきである。立法府も総力を上げるべきである。マスコミも力を貸してほしい。前代未聞の出来事が、そのための契機となることを切に願う。
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