障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

18年4月17日更新

政府統計の利活用に関するアンケート調査票に対する回答

○JDは、2018年2月24日、政府統計の利活用に関するアンケート調査票に対する回答を提出しました。 267もの政府統計のうち、障害者関連は【政府統計の認知 利用回答】のように"医療・福祉"の№39・40のみとなっています。
【PDF版はこちらから】

【政府統計の認知 利用回答】

2018年2月24日



政府統計の利活用に関するアンケート調査票に対する回答

NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳






問6 拡充・改善すべき政府統計名
国民生活基礎調査 ⇒ 障害の有無を調査できるようにするべき。

《回答者負担を踏まえた改善・拡充の考え方(最も近いものを選択)》
⇒ 同一統計の他の項目の効率化・簡素化で回答者負担を相殺する

(3)問15政府統計の改善・充実ならびに効率化・簡素化に関する自由意見
 この調査票を拝見して、恥ずかしながらこんなにも多くの政府統計があることを知り、驚きました。
 同時に、このようにたくさんの政府統計があるにも拘わらず、「障害者実態調査」が含まれていないことにも驚きます。このような国はOECD諸国の中にも他にはほとんどないのではないかと思います。EU諸国ではヨーロパ統計局が標準的な障害者実態調査票を作成し、各国が定期的に調査し、その比較報告もしばしば発表されています。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでも、国の統計主管庁による障害者実態調査が行われたり、国勢調査での障害者把握とその後の詳しい障害者フォローアップ調査が行われたりしています。

 日本の障害者統計の出発点は昭和26年(1951年)の「身体障害者実態調査」でした。当時の唯一の障害者施策は身体障害者福祉法であり、厚生省のその所管課が予算推計のために(法令に直接は基づかず)実施し、その後知的障害分野の同様な実態調査が加わり、さらにその後精神障害者や一部の難病患者が障害者福祉の対象となる中で2011年以降は「生活のしづらさ調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」となって今日に至っています。「日本の障害者」数として障害者白書などで紹介される数字はこの「しづらさ調査」が使われています。
 このように、「障害者福祉」の対象者を推計するための調査が、法令に基づかず、特定のサービスの所管課によって予算措置で続いているのが日本の現状です。そのため、「生活のしづらさ」はあるが障害者手帳をもたず、障害者福祉サービスを利用していない障害者が(調査に回答しても)障害者としてカウントされず、障害者白書などでも登場していないという問題も生じています。施設・病院の入所者、多くの高齢障害者、慢性疾患に伴う障害者、精神・知的・発達面の障害者、中軽度の障害者が把握されていません。このため、WHOや国連が人口の15%とする障害者出現率が、日本の「しづらさ調査」では6-7%となっています。政府もこの調査の結果をほとんど活用せず、障害者団体や研究者が独自に分析をするためのデータ提供もなされない現状です。
 2020年のパラリンピックを契機に、障害者理解を広げ、障害者の社会参加を進めるにも、「障害者実態調査」を政府統計に位置づけ、国として行なって頂きたいと思います。統計調査は経年比較が重要だとは思いますが、社会の変化に応じて、政府統計も変化してゆかねばと思います。

           

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