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18年4月17日更新

「公的統計の整備に関する基本的な計画」の変更(案)に関する意見

○JDは、2018年2月9日、総務省政策統括官(統計基準担当)付基本計画策定PTへ「公的統計の整備に関する基本的な計画」の変更(案)に関する意見を提出しました。
【PDF版はこちらから】


(参考)「公的統計の整備に関する基本的な計画」の変更(案)に関する意見募集
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145209043&Mode=0

2018年2月9日



「公的統計の整備に関する基本的な計画」の変更(案)に関する意見

NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳






【該当箇所】
 4頁 「第1 3 国際比較可能性や統計相互の整合性の確保・向上」

【意見】
 この項の4番目の段落では、「・・障害者統計の充実を推進する。」と書かれている。しかし、より具体的な箇所である「第2 2 社会・経済情勢の変化を的確に捉える統計の整備」では障害者統計にふれられておらず、さらに具体的な「別表 今後5年間に講ずる具体的施策」でも全く取り上げられていない。これでは障害者統計の充実に政府が取り組む予定があるようには読めない。
 一方政府は、2016年6月に国連・障害者権利委員会に提出した「障害者権利条約第1回政府報告」で、「課題としては、データ・統計の充実が挙げられ、特に性・年齢・障害種別等のカテゴリーによって分類された、条約上の各権利の実現に関するデータにつき、より障害当事者・関係者の方のニーズを踏まえた収集が求められていると考えられるので、次回報告提出までの間に改善に努めたい。」と書いている。これは政府がこの報告で、障害者権利条約の実施について唯一「改善」を約束している部分である。(他の部分はすべて、こうしている、引き続き取り組みを充実したい、○○するべきとの改善意見も障害者政策委員会で出されている、などである。)
 この国際的な約束に沿って、「案」においても障害者統計の改善についての具体的な記述が必要である。

【該当箇所】
 15頁 「第2 2 社会・経済情勢の変化を的確に捉える統計の整備 (1) 人口減少社会の実態をより的確に捉える統計の整備」
 「このような状況の中、人口やそれを取り巻く社会の構造変化等をより的確に把握する上で、国勢調査(基幹統計調査)及び国民生活基礎調査(基幹統計調査)の重要性はますます高まっている。このため、両調査については、これまで実施してきた取組に加え、地方公共団体における業務負担の軽減にも留意しつつ、調査方法等の更なる改善・効率化や、広報・情報提供の充実等を推進する。」
 また「別表 今後5年間に講ずる具体的施策」にも関係する。

【意見】
 国勢調査または国民生活基礎調査に、障害の有無に関する設問を組み込み、障害者調査として活用できるようにするべきである。そうすることによって、予算を増やさずに全国的な障害者の実態が分かるばかりでなく、障害のない国民との比較が可能になるので、障害者権利条約の実現の程度を評価することも可能となる。
 一方、国勢調査や国民生活基礎調査では設問数が限られ、障害者施策に必要な情報が得られない(たとえば補装具の利用の有無や必要の有無など)という問題がある。そこでこれらの調査で障害があると答えた人の一部を対象に追加的な詳しい障害者実態調査を行うことが有効である。カナダやニュージーランドなどで行われている方法であるので、わが国でも十分できる。

【補足説明】
 日本の障害者統計の出発点は昭和26年(1951年)の「身体障害者実態調査」であった。当時の唯一の障害者施策は身体障害者福祉法であり、厚生省のその所管課が予算推計のために(法令に直接は基づかず)実施し、その後知的障害分野の同様な実態調査が加わり、さらにその後精神障害者や一部の難病患者が障害者福祉の対象となる中で2011年以降は「生活のしづらさ調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」となって今日に至っている。「日本の障害者」数として障害者白書などで紹介される数字はこの「しづらさ調査」が使われている。
 このように、「障害者福祉」の対象者を推計するための調査が、法令に基づかず、特定のサービスの所管課が予算措置で続けているのが現状である。そのため、「生活のしづらさ」はあるが障害者手帳を持たず、障害者福祉サービスを利用していない障害者が障害者としてカウントされず、障害者白書などでも登場していないという問題も生じている。政府もこの調査の結果をほとんど活用せず、障害者団体や研究者が独自に分析をするためのデータ提供もなされない。
 障害者統計の国としての位置づけを明確にしていただききたい。
 WHOの世界障害報告(2011年)では、障害者はどの国でも一般に人口の15%を占めるとされており、社会の重要な構成要素である。この人たちの現状が理解され、その社会参加が進むことは社会全体の利益である。さらには、この改善はアジア太平洋地域の国々にとっても参考にしてもらえる。

           

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